posted by 春海 さな
at 14:03:59 │
EDIT
梅雨明けしたとたん 雨は一切期待できないですね・・・・・。
庭に母が植えたプチトマト。
かじるとガリガリ音がします★
味は良いけど 歯ごたえはプチトマトじゃないよ・・・。
ゴーヤと胡瓜も植えてるのですが どうもダメっぽい。
どう考えても水不足だよ・・・・。
ろくに肥料もまいてないから栄養も不足かも★
グリーンカーテンなんて無理だよ!!
さて、熱は下がりましたが相変わらず頭痛・・・。
母には熱中症!?とビビられてますが違います。
今週は1週間、本当に体調が悪かった・・・。
もうすぐ夏休み。
なんとかスッキリしたいものです!
・・・・えっと、いつもにもまして変わり映えのしないお話をお届けいたします。
少し色っぽさを~~~ともくろんだのですが うちの蛭魔さんには情緒ってもんがないですね★
ま、私がかくものだからね・・・・。
そんなお話ですがよろしかったら見てくださいねv

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「好きです。付き合って下さい」
受験の準備に入った雪光と、本格的に家業の手伝いを始めたムサシは三年に進級してからと言うもの、部活に出るのはたまにになったが、蛭魔と栗田、そしてまもりは相変わらずフルで出ていた。
今日、まもりは、元々まもりがアメフト部に関わるのを快く思っていなかった学年主任の先生に呼び出され、もうそろそろ部活は引退して本格的に受験勉強に入るように言われた。
先生の言う事はもっともだと思うが、まもりはなかなか部活をやめる踏ん切りがつかずにいた。
いつまでも部活に出るわけにはいかない。
受験の準備に入らねばならない事もわかっている。
わかってはいるがそれを実行に移せないのはひとえにあの場所がまもりにとってとても居心地の良い場所だから。
気負う事なく、自由に居られる場所だから。
物事には全て終わりがある。
いつまでもこのままで居られないことはわかっている。
だから、今日の事をきっかけにまもりは前に進む決心をした。
これまでの自分を打破して新たな一歩を踏み出す勇気を振り絞り言葉にした。
告白の化学反応
部活で遅くなった日は蛭魔が家まで送ってくれた。
それはアメフト部に入ってからずっと律儀に続いている。
今日もいつものように蛭魔が送ってくれていた。
いつもと違ったのは「話したい事がある」とまもりが蛭魔に言い、自宅近所の公園に二人で寄り道したことだ。
「好きです。付き合って下さい」
まもりの口から出た言葉に、自分たちの他には誰も居ないとわかっているはずなのに蛭魔はキョロキョロと周りを見回す仕草をする。
「蛭魔君!ちゃんと聞いてくれてるの?」
「誰も居ねえぞ?」
「はい?」
「糖分の過剰摂取で頭が湧いて幻覚でも見てんのか?」
「はぁ?」
「てめえの目の前に居るのはこの俺だ。寝ぼけんのは寝てからにしやがれ」
「寝ぼけてなんていません!」
「じゃあ、てめえの目の前に居るのは誰か言ってみやがれ」
「えっ?…蛭魔君でしょ」
「蛭魔何だ?」
「はぁ?蛭魔妖一」
「そいつがなんて言われてるか知ってんのか?」
「はい?」
「知ってんのか?」
「知ってるわ。泥門の悪魔。地獄の司令塔。傍若無人。残虐非道。口から出るのは出任せとはったり。」
すらすらとまもりの口から蛭魔への世間の評価が紡がれた。
「考えてみろ。普通そんな奴、好きになるか?」
「…ならないわね」
「だろ?てめえのは単なる気の迷いだ。忘れろ」
話しは終わったとばかりに踵を返し歩き始める蛭魔にまもりは唖然とする。
「ちょっと蛭魔君!私の告白、気の迷いで切り捨てる気!?」
「それ以外の何でもねぇだろうが」
「何でそんな決めつけるのよ!?」
「告ってるのがてめえだからだ」
「どう言う意味!?」
「てめえは一般的に見て見た目も良いし、頭も良いし、性格も良い。真面目ですれた所がねえ。泥門の天使なんざフザケた呼び方する奴もいる位だ」
普段、全く褒めない蛭魔に褒められるとなんだか照れくさくなってしまう。
「そんな奴が好き好んで俺なんかに惚れなくても良いだろうが?やめとけやめとけ気の迷いだ」
やっぱり最後は『気の迷い』と決めつけられてカチンと来る。
「勝手に決め付けないでよ!私が好きだって言ってるんだからそれで良いじゃない!誰が何て言おうと関係ありません!」
「あ――ウルセぇ!告白されんのに、何で怒鳴られなきゃなんねんだァ?!」
「それはこっちの台詞です!何で告白してるのに怒鳴らなきゃいけないのよ!」
「変な女」
「蛭魔君こそ変よ!悪魔なクセにアメフト馬鹿で、人の話しなんてちっとも聞かないクセに面倒見良くて、意地悪なクセに優しくて。変過ぎ!」
「そんな変な奴を好きだなんぞとほざいたのはどこの糞女さんでしたかネェ?」
「ムカつく!ええ、私よ!私です!悪い!?」
「別にィ?悪かねえが、よっぽどの物好きかMだろう?」
「余計なお世話です!」
「悪趣味」
「自覚してるんだから言わないで」
「こんな変な糞女と付き合える奴はそうそういねえナァ?しょうがねぇから付き合ってやるか」
「そうね、蛭魔君みたいな手のかかる人、誰も面倒みてくれないだろうからみてあげるわ」
「言うじゃねぇか」
「誰かさんのおかげでね」
蛭魔がニヤリと笑い、それを受けてまもりもニコリと笑う。
「じゃあ目閉じろ」
「何で?」
「この距離で目閉じろったら普通、わかんねぇか?」
「!! いや、でも、そう言うのって、三回目のデート位で良い雰囲気になった時に自然と…ってモンじゃないの?!いきなり目を閉じろってあんまりじゃない?」
「三回目って決めつけてる辺りが既に自然じゃねぇだろうが!」
「うっ…そりゃあそうだけど…」
「てめえはマニュアルに囚われ過ぎだ」「蛭魔君は奔放過ぎです!」
「付き合うからにはてめえに四角四面なつまんねえ糞みてぇな考え方 打破してやるから覚悟しヤガレ!」
「こっちこそ人の道のなんたるかを教えてあげるから良く勉強して下さい!」
二人の楽し気に言い合う声はまだ暫くは途切れそうにない。
天使と悪魔。
水と油。
正反対な二人が付き合いだした時、そこにどのような化学反応が起こるのか?
全ては此処から――――。
終わり
アップする作業しながら手直ししようと思ってたの思い出した★
でも、もう面倒なのでこのままアップ!
私が加えようとした色っぽさは チューの1つでも・・・・と思ったんですが・・・
喧嘩ップルになっちゃった★
多分、テレた蛭魔のテレ隠しですよ?
いや、多分★
posted by 春海 さな
at 22:43:27 │
EDIT
なんとか書きあげれたー!
・・・・でも、時間がなくて・・・・ ヨロヨロとしたお話になっちゃったんですけどね・・・★
まあ、いつもと似たり寄ったりなお話です★
もー 書きあげれただけでも良しとしよう・・・・。
やはり今回もタイトルを考えてなくて・・・・
本当に考えるの苦手~~!
誰か素敵なの考えて~~!!
・・・・とりあえず、今、レンタルしてる松たかこさんの曲のタイトルより・・・。

未来になる
「お誕生日おめでとー!」
パーン!
パパン!
乾いたクラッカーの音が夜空に鳴り響く。
今日は栗田の誕生日、そして、七夕だ。
部活終了後、ささやかながら栗田の誕生日会を開催することになったのだが、新入部員を含めた全員で部室の中で誕生日会をやるのは到底無理だし、せっかく綺麗に晴れ渡った夜空が見えているのだからと言う事で、部室前にシートをひいたり椅子を置いたりして野外でのお誕生日会となった。
「ありがとう~嬉しいなぁ」
栗田は感激仕切りで巨大なバースデーケーキを二本のフォークで突き刺して1人でパクつき、他のメンバーも山盛り用意されたおにぎりやら惣菜やら菓子やらをそれぞれパクついていた。
たまに吹く風が気持ち良い。
栗田が裏庭にはえていたからと持って来てくれた竹には部員の短冊が沢山吊るされていて、風が吹くたび、そよいでカサカサと音をたてた。
色とりどりの短冊には『身長が伸びますように』『ボンキュッボーンのセクシーダイナマイトになれますように』『漫画家になる』『赤点とりませんように』様々な願い事が書かれている。
『絶対、ライスボウル』と書かれた栗田の短冊をまもりはぼんやりと眺めた。
―――蛭魔君、結局、短冊書かなかったな…。
短冊は一応、全員に配ったのだが、蛭魔だけは「神だのみなんざ趣味じゃねえ」と一蹴。
短冊を書くことはなかった。
一方、まもりは短冊にどんな願い事を書くか悩みに悩んだ。
色々悩んだ挙げ句、無難に『大学に合格しますように』と書いた。
そこでまもりは小さなため息をついた。
まもりの小さい頃からの夢と言ったら保育士か小学校の先生だった。
だから短冊にはいつも『保育士になれますように』『小学校の先生になれますように』のどちらかを書いていた。
今年もそう書くつもりだった。
書こうとペンを持った時、蛭魔の顔が浮かんだ。
蛭魔の進路をまもりは知らない。
大学行くのかな?
就職するのかな?
それとも専門学校?
一番、大学進学の可能性が高いと思う。
けれど、進学するのは日本の大学なのかアメリカの大学なのか可能性は五分五分でわからない。
別に付き合ってるわけでも、何か約束をしてるわけでもない。
蛭魔がどんな道に進もうと自由だし、それはまもりも同じだ。
だけど、自分の中に蛭魔と離れ難い想いがひっそりと息づいていることに気付いてしまった。
自分の夢は蛭魔との道を別つものかもしれない。
そう思ったら無邪気に夢を書けなくなった。
今まで目指していた夢なのに、こんな簡単に揺らぐなんて……。
セナを守らなければと言う思いがいとも容易く間違いだったと気付かされた時の感覚に似ていて、自分はどうすれば良いのかわからなくなった。
風にくるくると回る自分の短冊に再びまもりはため息をついた。
誕生日会は盛大な打ち上げ花火で幕を閉じた。
片付けを終え、まもりはようやく一息ついた。
最後は私一人で大丈夫だからとみんな帰した。
今、この学校にいるのはきっと、焼却炉の前で星を眺めている自分と、部室でパソコンをいじっている二人だけだ。
都心から少し離れていると言っても夜空に見える星は寂しい。
あそこならもう少しは見えるかも?
ゴミ箱をその場に残したまま、まもりは歩きだした。
重い鉄の扉を開けると、目の前には暗い水をたたえたプールがあった。
「この学校の警備ってどうなってるのかしら?」
校舎の出入り口も、プールの扉も鍵はかかっておらずすんなり侵入できた。
プールサイドに腰掛けて素足をプールへと浸す。
プールサイドは涼しく、水は冷たくて、モヤモヤした気持ちが少しずつすっきりしてくる感じがする。
しばらくまもりはぼーと夜空を眺めた。
どれくらいたったのだろう。
静寂はけたたましい犬の鳴き声で終わりを告げた。
振り返るとそこにはケルベロスと、なんだか黒いオーラをまとった蛭魔が立っていた。
「糞マネ。てめえ職場放棄して水遊びたぁ優雅ですネェ?」
口調のトゲトゲしさから、かなりの怒りを感じる。
「あっ!ごめんなさい!」
まもりは自分の失態に気付いた。
ゴミ捨てに行ったままかえらず、気になって焼却炉を見に行ったらゴミ箱だけがある……。
そりゃあ驚くし焦るよね…。
何とも申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「何、悩んでんだか知らねぇが、ウジウジする位なら動きやがれ!てめえみてえなのが悩んだ所で同じ所を馬鹿の一つ覚えみてぇにぐるぐる回るのが落ちだ」
「ひどっ!断言?!」
「違うってぇのか!?」
仁王立ちでまもりを見下ろすその目には有無を言わせぬ迫力がある。
「うっ…違いません…すみません」
もう謝るしか術はない。
「で?何しょうもない事悩んでんだ?」
「悩み事までしょうもないと決めつけ…」
「違うのか?」
「うーん…しょうもないと言われればそうかもしれないけど…」
「言ってみやがれ」
「…何を?」
「糞マネ。今、なんの話しをしてたかもわからなくなった程ボケたか」
「いや、だって、蛭魔君が相談に乗ってくれるなんて天変地異が起きそうで…」
「てめえ…。気が変わった。やっぱりてめえはプールの底にでも沈んどきやがれ」
そう言うと蛭魔は踵をかえした。
「……蛭魔君って進路はどうするの?」
蛭魔の背中にまもりは静かに問いかけた。
「あん?」
まもりの問いかけに蛭魔の足が止まる。
「進学?就職?それともプー?」
「…てめえの悩みはソレか?」
「そうよ」
「くだらねぇ」
「蛭魔君にとってはくだらなくても、私にとってはくだらなくないんです」
「ああ、そうデスカ」
「そうです!で?進学?就職?」
「プー」
「えぇ?!本当に?!」
「嘘に決まってんだろバーカ」
心底馬鹿にした目で見下ろされまもりは頬を膨らませた。
「真面目に答えて」
「ライスボウルを目指すんだ 進学に決まってんだろが」
「蛭魔君もライスボウル目指すんだ」
「ムサシもな。関東、関西、社会人に別れての三國志だ」
「ちゃんと目標持ってるんだね。……って、じゃあ蛭魔君は炎魔大には行かないの?!」
「糞デブと一緒のとこ行ったんじゃ三國志になんねえだろうが」
「そうよね…。そっか、関西に行っちゃうんだ…」
「清々すんだろ?」
「……寂しいよ…」
「……糞チビの過保護卒業したら、次は俺の面倒だったもんなぁ。根っからの世話焼き根性は見上げたもんだが、ま、大学にも手のかかる男の一人や二人は居んだろ?期待しとけ」
「そんな期待いりません」
「てめえの悩みは結局なんだ?進学するか就職するかなのか?大学は何処にするかか?それとも面倒見る男が居なくなるか?」
「……二番だと思ってたけど……三番なのかも…」
「あん?」
「私の夢はずっと保育士か小学校の先生になることだったのよ」
「過去形か?」
「一応、現在進行形。だけどね、その道選んじゃったら蛭魔君とはお別れだなぁって思って…」
「てめえ馬鹿だろう?」
「うん。多分」
「一緒の大学行くっつー選択肢考えりゃ良い話しだろうが」
「…!」
「喜べ糞マネ。俺が行くのは最京大だ。てめえの進みたい学部は揃ってんぞ」
「でも関西でしょ?」
「日本だ。迷ってんなら俺が決めてやる。てめえの進路は最京大アメフト部マネージャーだ!こきつかってやるから従順に働きヤガレ!」
「マネージャーが進路なの?」
「天職だろうが」
どうだと言わんばかりの得意気な蛭魔の顔を見た瞬間、まもりの脳裏にふっと、7月7日にちなんだ7を2つ使った四字熟語が浮かんだ。
“七 縦 七擒”
まさに蛭魔の為にあるような言葉。
「うん。頑張ってみようかな」
「みようかななんざ甘っちょろいこと許すワケねぇだろ!死んでも合格しヤガレ!」
「キャー!ちょっと!何処に持ってたのよ水鉄砲なんか!!」
どこから取り出したのか蛭魔が放った水鉄砲の水でまもりは頭から水も滴る良い女になってしまった。
ぎゃあぎゃあと蛭魔とまもりの言い合う声が夜空に吸い込まれて行く。
まもりの願いは図らずも叶いそうだ。
END
・・・・・・・・頑張ったんです。
頑張るだけは頑張ったんです。
実にならねえ頑張りなんざ糞だと蛭魔さんに云われそうですが・・・・頑張ったんです~~!
もう、今の限界です。
一昨日から書き始めたけど、昨日の昼すぎになって没にして 新しいお話書き始めました。
本当に時間がなかったのです。
言い訳ですが・・・・。
女々しいな・・・。
次のカウンター19000記念小説は 少しでもしっかりしたものが書ければ良いにゃ~~~★
最後に・・・
クリタン お誕生日おめでとー!!
posted by 春海 さな
at 23:43:05 │
EDIT
なんとか ようやく書きあげました!
思ったより長くなっちゃった★
私の話はどうしてこう無駄に長くなっちゃうんでしょうね?
今回のお話は ちょっと違った角度から蛭×姉を書いてみよう!と云う意気込みで考えたお話だったのですが・・・
そもそも蛭×姉としてどうよ?なお話になっちゃいました★
本末転倒ーーー!!
ダメじゃんね~?
とにもかくにも、私は蛭魔が好きなんだよ!ってお話です。
もう、単にそれだけのお話かも?
それでも良いよ~と云う、心やさしく、お暇な方はご覧下さいv

日曜日は何処へ行った?
ワールドユースが終わっても泥門は日々、ハードな練習をこなしていた。
相変わらずのアメフト漬けな毎日の中、今日は久々に丸1日練習の無い日曜日だった。
日曜日は部活無しだと告げられた時、部室には歓声が上がり、部員の誰もが浮かれた。
セナや鈴音ちゃんがみんなで一緒に遊園地に行こうと誘ってくれたが、まもりは用事があるからと断った。
それと言うのも、まだみんなには内緒にしているが、最近、付き合いだした蛭魔から誘われるかもしれないと思ったからだ。
しかし、蛭魔がデートに誘ってくれる事はなく、まもりは一人の休日をもて余していた。
午前中はもしかしたら…と、淡い期待を抱いて携帯とにらめっこしながら部屋の掃除をして過ごした。
お昼ご飯を食べ終えても鳴らない電話に寂しさを覚え、窓から見える快晴の空に家でじっとしているのが馬鹿らしくなり、もうすぐ誕生日の鈴音への誕生日プレゼントを買い出かけることにした。
目的地は麻おう駅前に最近オープンした雑貨屋。
凄くお洒落で可愛い雑貨が沢山有るとクラスメイトが話しているのを聞いて今度行ってみようと思っていた店だ。
さすが評判なだけはある、とても素敵なお店だった。
一時間ほど店内をぶらついたが、その間、あれも良い!これも良い!と目移りしまくった。
最終的にはカラフルなタイルで縁取られた可愛い写真たてを鈴音のプレゼントに購入した。
プレゼントが決まらなければ、決まるまで雑貨屋巡りをしようと思っていたのに一軒目で決まってしまった。
帰るにはせっかくここまで来たのに早い気がするし、かと言って行きたい所も買いたい物もない。
しょうがないのでどこかお洒落なカフェでお茶でもしようと歩き始めた。
駅から少し離れた所にこじんまりとした落ち着いた感じの喫茶店を見つけまもりは入った。
窓際の席に座り、ミルクティーを飲みながら外を眺める。
外を仲良さげなカップルが通りすぎて行く。
あれが恋人同士の普通の姿よね…。
ついため息が出てしまう。
携帯の着信を調べてみるがやはり着信は無い。
頬杖をついて再び窓の外を眺めているうち、ある看板が目に入った。
前に栗田と二人で話していた時、たまたま話題は蛭魔の家についてになった。
今はどうか知らないが、中学時代はビジネスホテル住まいしてたと言っていた。
その時、蛭魔が住んでいたと言うビジネスホテルの名前が、今、見ている看板と同じだ。
まだ住んでるのかしら?
さすがにもう住んでないかな?
もし、まだ住んでいたら…。
住んでいないにしても もしかしたら今の住まいがわかるかも?
まもりは決意を胸にミルクティーを飲み干した。
蛭魔君が住んでるくらいだからもっとおどろおどろしいホテルを想像しちゃってたわ…。
ごく普通の小綺麗な外観にまもりは少々拍子抜けしてしまった。
蛭魔君、まだ住んでるのかしら?
もし居たらどうしよう…。
急に来るなとか怒られるかしら?
…でも…彼氏の住まいも知らないって方がおかしんだから!
蛭魔君が怒ったって構わないモン。
いざホテルに入るのは勇気がいったが、なんとか自分を奮い立たせて自動ドアをくぐった。
「あっ…」
ロビーに入ってまず目についたのは泥門デビルバッツの勧誘ポスター。
落ち着いたロビーの中でそこだけが異才を放っている。
蛭魔が確かにここに居た証明に思えてまもりは思わずくすりと笑ってしまった。
本っ当にアメフト馬鹿なんだから…!
緊張がとけたまもりは足取り軽くフロントへと向かった。
「あの、すみません。こちらに蛭魔妖一って人、宿泊していませんか?」
蛭魔の名前を口にした途端、フロントマネージャーの顔に緊張が走ったのがわかった。
「失礼ですが、蛭魔様とはどのようなご関係で?」
「えっと、私は蛭魔君と同じ泥門デビルバッツでマネージャーをしています姉崎と申します」
「泥門デビルバッツ!マネージャー様でいらっしゃいましたか!大変、失礼をいたしました」
泥門デビルバッツの名前が出た途端、蛭魔の名前の時とは一変、フロントマネージャーの顔は愛想の良いものとなった。
「蛭魔様とお約束をされていらしたのですか?蛭魔様は只今、外出中です。おそらくすぐそこのスポーツクラブだと思います。もうそろそろお戻りになられる頃だと思いますので喫茶コーナーでお待ち下さい。すぐにお茶をお持ちいたします」
「いえ、お茶は結構ですし、待たせてもらうのはロビーで構いませんから」
「いえいえいえ!蛭魔様のお客様をろくなもてなしもせずに待たせたとあっては私が上の者に叱られますので、遠慮せずお寛ぎ下さい。喫茶コーナーで待つのがなんでしたらお部屋を一室用意いたしましょうか?」
「いえ!そこまでは本当に結構ですから!喫茶コーナーで待たせていただきます」
フロア係に案内されてまもりは喫茶コーナーへと移動した。
さっきミルクティーを飲んだばかりだったので今度はレモンティーを頼んでみた。
注文したレモンティーと一緒に一口サイズの色とりどりの様々な可愛らしいケーキの盛り合わせのプレートが置かれて慌てる。
「すみません。私、レモンティーしか頼んでないんですけど…」
「こちらは社長からのサービスのでお気をつかわずゆっくりおくつろぎください」
「はぁ…。ありがとうございます」
ウェイトレスはにこやかに会釈すると持ち場へと帰って行った。
「蛭魔君……どんだけ悪事働いてるのかしら…」
どんどん気分が重くなる。
「まだここに住んでるんだ。よっぽど居心地良いのね…」
どれほど脅迫手帳を活用しているのか?
ホテルの従業員の態度から察するにこのホテルが蛭魔の支配下にすっかり治まっているのは間違いない。
申し訳なさを感じつつ、まもりはケーキを一口食べた。
「! 美味しい~!」
大好きな仮屋にも負けない美味しさにまもりはさっきまでの気分も忘れケーキに夢中になる。
苺のムースは酸味と甘味が絶妙で、チーズケーキはしっとりふわふわで口の中でとろけて広がる感覚がたまらないし、ショートケーキの生クリームも甘過ぎず上品な味でいくらでも食べれそうだし、一口シュークリームは生クリームとカスタードクリームが口の中で混ざりあうのが絶品としか言えない。至福の時を堪能しているまもりに声をかけて来た人物がいた。
「はじめまして。私、このホテルの社長の松山と申します」
「えっ、あっ、こちらこそはじめまして。泥門デビルバッツマネージャーの姉崎です」
まもりは慌てて立ち上がると挨拶を返した。
「少し、お話しさせて頂いてもよろしいですかな?」
「はい!」
松山と名乗った初老の男性はまもりの正面の席へと腰をおろした。
「クリスマスボウル優勝とワールドユース準優勝おめでとうございます。いやぁ、私ども後援会としても喜ばしい限りですよ」
「後援会?」
「はい。創部当初から応援させて頂いております。去年までの成績からは考えられない躍進に驚かされました。いやぁ、さすが蛭魔様ですなぁ はっはっは!」
「蛭魔君って、こちらのホテルを不法占拠してるだけでなく後援会までさせてるんですか?!」
豪華客船で祝賀会なんて校長を脅すだけでは到底無理だとは思っていたが、思わぬ形で蛭魔の悪事の露呈にまもりは青ざめた。
「すみません!これ以上の悪事はやめるようきつく注意、指導いたします!!」
何度も頭を下げるまもりを松山は止めた。
「いえいえ、蛭魔様には助けて頂いているんですよ」
「えっ?蛭魔君に迷惑かけられてるんじゃないんですか?」
松山の思いがけない言葉にまもりは思わず聞き返した。
「まあ最初はね。そりゃいきなり中学生に違法建築指摘されて、黙っておくかわりに無料で住まわせろなんて脅されたら迷惑でしたよ」
その頃を思い出し、苦笑いする松山にまもりは「すみません」と小さくなりながら謝った。
「まあ、こちらが違法建築だったのは事実でしたしね。あの頃は経営がなかなか軌道に乗らず、いつ不渡り出すかの自転車操業で…悔しいですが違法建築の部分を直す資金もなくて、蛭魔様の要求を飲むしかなかったのですよ」
「はあ…」
「でも、あれがうちにとっては大きな転機だったんですよ。ホテルで中学生が一人暮らしなんてどうなるかと思いましたけどね。だってそうでしょう?どう考えても普通じゃない。中学生が思い付くこととは思えない。バックに何かしら善からぬ組織でもいて、犯罪に利用されるんじゃないかと警戒していたんですよ。でも、出入りするのは蛭魔様一人で、しばらくするとそんな異常な状況にこちらも慣れてしまって気にならなくなったんですよね。いや、気にならなくなったんじゃなくて、気にしてる余裕がなくなっていたんですね…。本当に経営が切羽つまってましてね、不渡り出すのは時間の問題になっていたんですよ。そんな時、ホテルのパソコンがハッキングされまして、勝手にホームページが書き替えられて、宿泊料金やらプランやら一新されたんです。」
「…それって…」
「はい。犯人は蛭魔様でした」
「やっぱり…」
「朝の朝礼で従業員が全員集まった所で『俺の言う通り働きやがれ!』とマシンガンをぶっぱなしまして、それでもはむかう従業員には黒い手帳を振りかざして、有無を言わせず従わせました。」
なんて蛭魔君らしい…。
「でも、そのおかげで従業員一同、一致団結して働けたんですよ。正直、いつ潰れてもおかしくない状態に従業員達も諦めていたと言うか、覇気を無くしていたんですよ。蛭魔様の発破は良くも悪くも従業員の原動力となり、ホテルに活気が戻ったんです。その後は今までが嘘だったかのように経営が上向きまして、今ではホテル業界が不況に喘ぐなか、平日でも稼働率は90%ですよ!」
松山は誇らしげに胸をはる。
「蛭魔様の考えるプランは斬新で画期的で消費者のニーズにバッチリ答えるものばかりなのですよ。なんたって情報量が違う。だから我がホテルにはもちろん、ビジネスや旅行に来た時、宿泊するならここと、常宿に決めて下さっているお客様も多いですが、我がホテルに宿泊するために来られるお客様も多いのですよ」
松山のべた褒めぶりにまもりは惚けてしまう。
「今、召し上がられているスイーツも蛭魔様プロデュースなのですよ。これのおかげで飛躍的に女性客が増えました」
甘いもの嫌いな悪魔がスイーツをプロデュース?
人には散々文句言うのに?
なんだかちょっと複雑な心境になってくる。
「実は蛭魔様は高校に入学された時、ホテルを出て行こうとされたんですよ。少しでも高校に近い方が良いって理由だったんですがね。あの時は従業員全員で引き留めました。今の状態は住み込みでコンサルタントが居てくれるようなものですからね。世間では悪魔だなんだと恐れられていますが、うちにとって蛭魔様は福の神ですよ。あっはっは」
蛭魔君が福の神…。
そんなこと言う人がいるなんて…。
世の中は広いと、まもりは遠い目になってしまう。
その時、ウェイトレスが声をかけてくれた。
「蛭魔 様がお戻りになられたそうです」
「そうですか。ありがとうございます」
まもりはペコリと頭を下げる。
「夕食には是非、我がホテルのレストランで食事して下さい。最高のディナーを用意しておきますから!」
そう言ってくれる松山にお礼を言い、まもりは蛭魔の元へ向かった。
突然現れたまもりに蛭魔の眉毛が片方ぴくんと上がる。
驚いた時の蛭魔の癖だ。
してやったりとまもりは内心ほくそ笑む。
「ストーカーか?糞マネ」
「ストーカーでも糞マネでもありません。今は彼女です」
「糞彼女、何しに来やがった?」
「蛭魔君が誘ってくれないから誘いに来たんです」
「てめえ、ダチは居ねえのか?」
「いるけど…」
「せっかくの休みなんだ。ダチとでも出かけやがれ」
そこでまもりははたと、先日、教室での友人達との会話を思い出した。
いろんな雑貨屋や洋服屋巡りを1日しよう。
疲れたらお茶したりして…と、友人達と盛り上がっていたのだ。
でも、その時は部活が休みになるなんて思いもしなかったから「ごめん。部活だから無理」と断ったのだった。
当然、友人達からは付き合いが悪いとブーイングされた。
蛭魔君、あの会話を聞いてた?
だから…?
「蛭魔君と一緒に居たいんです。なんたって悪魔の皮を被った福の神なんでしょ?」
「あん?」
ニコニコ笑うまもりに蛭魔は短く舌打ちする。
そこにフロントマネージャーがすかさずやって来てこの近所に最近オープンしたアウトレットモールのシンボルとして造られた巨大な観覧車のペアチケットを渡した。
チケットには特別なチケットしか出来ない予約の時間が押されている。
実はこれも蛭魔が宿泊のカップルを対象にした特別プランの一つ。
オープンしたてで、観覧車に乗るには通常、長蛇の列に並ばなけれならない。
並んでいるうちに夕日が沈んでしまう…なんて事なく楽しめるよう、宿泊したカップルには時間指定のチケットがプレゼントされるのだ。
それをまさか自分が使う事になろうとは…。
蛭魔は少し苦い顔をしたが、まもりの無邪気に喜ぶ姿に諦めた。
「おら、行くぞ」
「でも指定時間までまだ有るわよ?」
「モールでもぶらついてりゃすぐ来んだろ」
ぱあっと明るくなるまもりの顔にヤられた気持ちになる。
「行ってらっしゃいませ!」
従業員一同に見送らればつが悪いが腕に回された細い手に気分が少し上向く。
腕を組んでラブラブで歩く姿を友人達にバッチリ目撃され
翌日の学校で騒動が起こるのはまた別のはなし―――――。
END
最終的に私は蛭魔さんは面倒見の良い、良い人だと思っておるのです★
そんだけのお話です。
やはり今回もUPする瞬間までタイトルを決めてなくて・・・・
今回は松たかこさんの曲を使わせて頂きましたv
posted by 春海 さな
at 23:28:52 │
EDIT
カウンター18000越えた超えましたー!
めでたいですv
コツコツ地道に地味に頑張ったかいがあったと云うものです!
余裕をかますつもりが後半失速したため 超えると同時にUPはかないませんでしたが・・・
なんとかかんとか頑張って書きあげましたよ♪
原作がとうに終わっているので、ちまちまと原作を読み返しては脳内補完をする日々。
こんな状態、いつまで続けれるかはわかりませんが、もうしばらくは良かったらおつきあい下さいね?ね?

光の射す方へ
「やー!まも姐、何読んでるの?」
まもりが真剣な顔で何を見ているのか気になり、鈴音はまもりの手元を覗きこんだ。
「アンケート結果?何のアンケート?」
興味深々で覗きこんでくる鈴音にまもりは見ていた冊子を渡した。
「あぁ、この間の王城戦の会場で月刊アメフト主宰でやってたアンケートの結果が出たんだ。色んなアンケート取ってたんだね~。なになに…」
真剣な表情で鈴音はアンケート結果に目を通して行く。
「“どっちが勝つと思う!?”王城59%かぁ。まあ、しょうがないよね。まさかアノ王城に泥門が勝つなんて!って、驚いた人多かっただろうね」
ニンマリと鈴音が笑みを浮かべる。
「“今日のMVPを予想して!”は良いとこついてるよね!次は…“泥門に弱点があるとすれば、どこ?”………弱点……。『馬鹿が多すぎる』と『瀧が馬鹿すぎる』の馬鹿って理由で42%占めてるってどうよ……。馬鹿兄貴が馬鹿なのがみんなに知れ渡ってるってことじゃない!恥ずかしいー!!」
「まあまあ、落ち着いて。ね?」
なだめるまもりに鈴音は深いため息をつく。
「まあ、泥門は頭良い組と馬鹿組がはっきり別れすぎだよね…。妖一兄も「馬鹿多すぎ」って言ってたしね。しょうがないけど…それにしても『瀧が馬鹿すぎる』が21%って…」
本当に嫌そうな顔をしてアンケートを見ていた鈴音だが、ある事に気付き一気に復活した。
「ヤー!まも姐まも姐!『姉崎さんもチアをやるべきだ8%だってー!」
先程までの落ち込みは何処へやらキャイキャイと盛り上がる。
「まも姐がチアやったら観客増えるんじゃないかなぁ~。モン太なんて鼻血出しながら頑張るかも~!」
「いや、鈴音ちゃん?私は試合中、サインとか出さなきゃいけないから…ね?」
一人、妄想の世界に入っている鈴音をなんとか連れ戻そうと声をかけてみるが、鈴音は悦に入ってなかなか戻って来てはくれない。
「そうなんだよね~。絶対、盛り上がるのに!ファン増えるのに!妖一兄が許してくれないよねぇ…」
「そんなファンとか出来ないから…鈴音ちゃん?」
「まもりは俺だけを見てれば良いんだ!とか妖一兄ってば思ってたりしてぇ~!?ヤー!!」
「…鈴音ちゃん、アリエナイから…」
一人芝居で盛り上がる鈴音にまもりはついて行けずただ見守るしかなかった。
暫く一人芝居を楽しんだ鈴音は興奮冷めやらぬ様子で次の質問に目をやった。
「ヤー!“彼氏にするならどの選手?”やっぱり桜庭さんはさすがダントツだね!これはしょうがないよね。あっ!二位は文字しゃんなんだぁ。スッゴク意外なような納得なような。でも、文字しゃん格好良いからやっぱ納得だね!ねぇ、このアンケートに答えてるサンゾーってアノ神龍寺のだよね?桜庭ファンクラブ席に座ってたから桜庭しゃんのファンなんだろうと思ってたんだけど、文字しゃんも好みだったんだ~」
「えっ?いたの?」
「うん。居たよ~。応援旗振ってる桜庭しゃんのマネージャーさんの後ろ辺りに座ってたよ」
「そうなんだ…」
「うん。途中から雲水しゃんのとこに行ったけど。それにしても、文字しゃんはこっち方面の人にもモテるんだ~。ウププ…あぁっ!?まも姐まも姐!!妖一兄が5位でランクインしてるよっ!!」
「そうなのよ。驚きでしょ?!」
このアンケート結果に驚いていたまもりが話しに乗って来た。
「本当に、蛭魔君に入れた恐ろしい人は誰かしら…」
「ヤー!気になる?気になるゥ?」
「鈴音ちゃん……何で頭のアンテナ立ってるの…?」
目を輝かせて身を乗り出して来る鈴音にまもりは思わず引いてしまう。
「ヤー!妖一兄やるじゃん!高見しゃんには負けちゃってるけど健闘だよね!」
「本当、意外としか言えないわよね」
「えー、妖一兄格好良いよ~。試合中、どんな状況でも冷静に分析してみんなをしっかり引っ張ってるとことか本当に格好良いモン」
「試合中はでしょ?蛭魔君の本性知らないから蛭魔君なんかに投票したのよ」
「そんな事ないよー。妖一兄、背もそれなりに高いし、スタイル良いし、顔だってふざけてなきゃ凄い整ってると思うよ」
「まあ、見た目はねぇ…」
「妖一兄は見た目だけの男じゃないよ!口先だけじゃない、行動力だってあるし、悪魔とか言われて恐れられてるけど本当はとっても優しいよ!みんなそれが分かってるんだよ。じゃないとこんな厳しい練習について行くはずないもん!」
「でも、アノ蛭魔君よ?普通は投票しないんじゃないかしら」
「そんな事ないよ!妖一兄に投票するなんて男見る目がある人だよ!」
「鈴音ちゃん…」
さっきまでの盛り上がりとは打ってかわって鈴音の顔は泣き出しそうなくらい真剣だ。
「…まも姐は本当に妖一兄の事……ひどい人だと思ってるの?」
鈴音の真剣な眼差しに言葉が詰まる。
「それは……私は…」
「いつまでサボるつもりだ糞マネ!練習は再開してんだ、とっとと準備しやがれ!」
部室のドアを蹴破る勢いで開けた蛭魔が二人の様子になどお構い無しで怒鳴りつける。
「そんな怒鳴らないでよ!もう。鈴音ちゃんごめんね。練習だから…」
「ううん。私こそ勝手に盛り上がっちゃってごめんね。まも姐」
「糞マネ!とっととしやがれ!」
「ハイハイ!分かってます!」
「ハイは一回だろうが!」
「もう、うるさいんだから!あの投票は絶対勘違いよ!」
「あん?」
グラウンドへ走って行くまもりを蛭魔は何の事だかわからないと言った顔で見送る。
残っている鈴音に目をやると肩を竦めて苦笑いしていた。
片付けを終えて部室に戻ると、既にみんな帰った後で、部室には蛭魔しか残っていなかった。
その蛭魔は珍しくパソコンをいじっておらず、何かを読んでいるようだった。
蛭魔の手元を確認したまもりは「あっ」と声を出してしまった。
蛭魔が読んでいたのが例のアンケート結果が載っている冊子だったからだ。
「なんだ、テメーのか」
つまらなそうに蛭魔は冊子をまもりへと放り投げて返して来た。
「読んだ?」
「わざわざアンケート取るほどのモンじゃねぇな」
興味なさそうな顔で答えた蛭魔はいつものようにパソコン画面を開いた。
「糞チアともめてたのはソレか」
「別にもめてた訳じゃないわ」
「ほー。ま、そんなモン、もめる価値もねえからな」
「……ねぇ」
冊子に視線を落としたまもりが話しかけてきた。
「あん?」
「嬉しい?」
「何が?」
「3%の女の子が蛭魔君を選んでたでしょ」
蛭魔はまもりが何を言いたいのか計りかね、パソコンから視線をまもりへと移したが、当のまもりは冊子に視線を落としたままで、その表情を伺うことは出来ない。
「ソレがどうした?」
「バレンタインのチョコでも何十個も貰うより、3個位の方が本命っぽいじゃない?」
「なんだァ?その理論は」
突拍子もないまもりの理論に蛭魔は呆れた顔をした。
「この子達って蛭魔君が本命だったらどうする?」
「あァ?そんなモン、どうもしねー」
「スッゴク可愛い子だったらどうするの?」
「あん?労働力として使えねえ女に用はねえ」
きっぱりと言い切った蛭魔に、まもりは思わず顔を上げて視線を向けた。
「……蛭魔君って、本当に掛け値なしのアメフト馬鹿よね」
呆れたようにも、感心している様にも見える顔をしてまもりは呟いた。
「今、必要なのはクリスマスボウル目指す奴だけなんだよ」
言い切った蛭魔の視線の輝きは強い。
それが蛭魔の本心なんだと素直に思える。
「そうよね。今は何よりもクリスマスボウルよね」
「当たり前だ。分かったらとっとと働きヤガレ!」
「うん」
なんでかはわからないが、モヤモヤした霧が一気に晴れたような気がする。
「うん。そうよね!頑張らないとね!」
いきなり元気になったまもりに蛭魔は訳がわからないと呆れた目を向けるが、まもりはお構いなしだ。
「絶対、クリスマスボウル行かなきゃね!」
「当たり前だ」
まもりの言葉に蛭魔もニヤリと笑う。
あのアンケートを読んでから、ずっと付きまとっていたモヤモヤが消えた。
その理由はまだ朧気でよくわからないけれど、今はそれで良いんだと思える。
絶対クリスマスボウル!
まずはその約束を果たして、全てはそれから―――――。
END
・・・・・ははははは・・・・・ 乾いた笑いがでますね。
いや~、私のお話ってなんでこう・・・・。
あ、でも、今回のお話は原作に沿ったものにしたら 絶対、付き合ってないであろう時だから どうしてもこんな感じになっちゃいますよね。←言い訳!!
なんか色々言い訳した方が良いのかもしれないけど・・・
まあ、やめときます。
悪あがきな気がするから★
鈴音がみんなの事をどう呼ぶかわからなかったので 呼び方はテキトーになっちゃってます。
ちゃんと確認すれば良いんだけど・・・時間がないので~~~。
間違いに気づいたら おいおい直しますね。
ちなみに
桜庭のマネージャーさんが応援旗振ってる後ろのファンクラブ席に座ってるの サンゾーですよね?
女の子の中に一人 丸ハゲ★
おひまでしたら 単行本で探してみてくださいv
・・・って、そんな事 みんな気付いてるか★
posted by 春海 さな
at 08:51:07 │
EDIT
カウンターが16000超えましたー!
・・・・後、2~3日はかかると思ったんだけど。
バナー効果ですかね?
小さなことからコツコツと。
頑張ろー!
16000超えたので 記念小説をUPしますv
記念小説って言っても 普通のお話と変わらないんですけどね★
少しでも楽しんで頂けたら幸いですv

小規模な敗北
三年になっても蛭魔と栗田は相変わらず毎日部活で汗を流し、まもりも毎日せっせとマネージャー業に勤しんでいたが、ムサシと雪光はお互い、家の手伝いと受験勉強の為に顔を出すのはたまにとなっていた。
そんな5人が久し振りに揃った事で今日の部活はいつも以上に気合いが入り、しごきまくられた後輩たちは精も根もつき果てた様子でヨロヨロと帰って行った。
新米マネージャーの手伝いにまもりは再び部室を出たが、後に残った三年生達はまもりが入れてくれたコーヒーを飲みながらそれぞれの進路について話しに花を咲かせていた。
「凄いねぇ。雪光君は集英大の医学部志望なんだぁ。僕なんて、アメフト部があって僕が行ける大学って言ったら炎魔しかないからねぇ」
「あ、じゃあ三人は炎魔に行くんですか?」
「いや。俺は家業継がなきゃならねぇから進学はしねんだ」
「あ、そうなんですか…。じゃあ炎魔は二人なんですね」
「それも違うな。糞デブ一人だ」
「一人?」
「うん。ムサシが居ないのに僕と蛭魔の二人だけ同じチームでって…そんなの駄目だと思ってね!でも僕は炎魔しか行ける大学ないから…」
「じゃあ蛭魔君が違う大学に行く事にしたんですね?」
「うん。」
「ま、せっかく糞デブがやる気になってんだし、どーせ違うチームでやんならリーグが違う方が面白ってな」
「えっ、じゃあ蛭魔君は関西の大学に進学するんですか?」
「あぁ、一足先に頂点を極めて待っといてやるよ」
「関西の大学って言ったら…最京大ですか?!」
「手っ取り早いだろ?」
蛭魔がさらりと言った。
確かにライスボウル常連校の最京大に行くのは他のどの大学に行くよりも頂点に近いと思う。
思うが…。
いくら知略に長けようとも所詮、蛭魔の身体能力は凡人だ。
そんなレベルで部員三百人からいる部の頂点とも言えるQBになれるのか?
そんな思いが雪光の言葉をつまらせた。
「ケケケ、この俺が何の策も手土産もなく虎の穴に入るような真似すると思うか?」
雪光の思いを読んだかのように蛭魔が不敵な笑みを浮かべる。
「糞ドレッドつつきゃ、糞黒子まで転がって来る。糞ドレッドは確かに天才だかそうそう使いこなせる奴は居ねぇ。奴を使いたきゃ俺を出すしかねえって算段だ」
あの阿含を策に使うなんて考えられるのは蛭魔だけだろう。
そしてあの一休を手土産とのたまう不遜さはさすがだ。
だか、そんな他力本願を本当に蛭魔は良しとするのか?
再び雪光の思いを読んだように蛭魔が口を開いた。
「まずは足掛かりだ。身体能力だけじゃ到底勝てやしねぇ。それ以外を認めさせるにはチャンスが必要なんだよ。奴はその為の布石だ」
蛭魔は決して自分を過大評価も過小評価もしない。
冷静に分析するだけだ。
既に蛭魔は大学においての自分の位置を認め、上に上がる為の計画を着々と進めている。
蛭魔の周到さに背筋に悪寒が走る。
妥協を許さず、常に策略を張り巡らせて全力で敵に挑む。
これからはこの男を敵に回して闘わなければならない事に身が引き締まる思いがした。
そんな思いを誤魔化すように雪光は話題をかえた。
「と、ところで、姉崎さんも一緒に最京大なんですか?」
「あん?」
「ぷっ、くくくくくっ」
「何笑ってやがる糞ジジイ!糞ハゲ!てめえもだ!なんでそこで糞マネが出てくんだぁ?どいつもこいつも人の大学聞いた二言目には糞マネの事聞きやがって」
「俺も栗田も蛭魔の志望校聞いた次の質問が『姉崎も一緒か?』だったんだよ。だからこいつ機嫌悪いんだ。気にするな」
「あ、そうなんですか」
「ったく、糞マネが何処の大学行くかなんざ知らねぇよ」
「え、一緒じゃないんですか?」
「一緒に行かなきゃならねぇ理由がねぇだろ」
「理由ねぇ」
「糞ジジイ。なんだ、その含み笑いは」
「姉崎のお前の扱いは達人の域だ。側に居てもらう方が何かと良いんじゃないかと思ってな。お前の為にも周りの為にも」
「ケッ。余計なお世話だ」
「じゃあ姉崎さんは何処の大学に行くんですかね?」
「さあな。糞チビの子守りは卒業したみてえだが また友達に誘われたから~とかってふざけた理由で進路決めんじゃねぇの?お守り根性が染み付いてやがるからなケケケ」
「確かにな。名前が名前だけに手のかかる奴程放っておけないたちだな。なぁ、蛭魔」
「あん?」
「弟離れはしたかもしれないが、姉崎のアレはダメ男を放っておけないって根本的な性質だからそうそう治らんだろう。そう言えばそうダメ男をだめんずって言うらしいな」
「あん?何が言いてんだ?若ぶった言葉使ってるつもりか?てめえはなんもかんも古ィんだよ糞ジジイ」
「ある意味、究極のだめんずが目の前に居たら、そりゃあ放っておけんだろって話しだ」
その時、部室のドアが開き、まもりと新人マネージャー達が入って来た。
「お疲れ様。後は私がやっておくから、もう帰って良いわよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて、お先に失礼します。お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様。気を付けて帰ってね」
新人マネージャー達は蛭魔達にも挨拶すると仲良く帰って行った。
「おい糞マネ!コーヒーおかわり」
「もう!それが人に物を頼む態度?」
パソコンをいじりながらチラリともまもりを見ることなく、当然だと言わんばかりの態度でおかわりを要求する蛭魔に、一応、文句は言うものの、言う程気分を害した様子もなく、こちらも当たり前のようにコーヒーを煎れに行った。
蛭魔のコーヒーと一緒に自分のコーヒーも入れて来たまもりは蛭魔達の会話に加わった。
「何の話しをしてたの?」
「あぁ、それぞれの進路についてだ。そういえば姉崎は進路はどうするんだ?」
「炎魔大にね、一緒に行こうって友達に誘われてるの」
「わぁ!じゃあ姉崎さん、炎魔大に行くの?!」
まもりの言葉を聞いた栗田が声を弾ませた。
「大学は炎魔大じゃなくて最京大に行こうと思ってるの」
「はぁ?!」
まもりの進路について寝耳に水な蛭魔は思わず声をあげた。
「受かったらよ?」
蛭魔の驚きを別の意味にとったまもりは慌てて“受かれば”を強調した。
「だって、今までは蛭魔君の思い通りに出来ただろうけど大学では監督とか先輩とか、人間関係も色々変わって大変になるだろうし、部員も大勢いるからレギュラーとるのも凄く大変だと思うの。だけど私が居れば色々手助けできるから蛭魔君も少しは助かるんじゃないかと思ってね。」
「………。」
「それに何より蛭魔君って大学に行っても周り中に迷惑かけそうで心配で放っとけないんだもの!」
一番の理由はこれだと言わんばかりにまもりが言葉に力を込める。
そんなまもりに武蔵と雪光は微かに苦笑を浮かべたものの、素直にまもりの言葉を受け取った栗田は感激して万歳でもしだしそうな勢いだ。
「良かったね蛭魔!姉崎さんが居れば安心だね!」
「糞デブ、どう言う意味だ?!」
「姉崎、大変だろうが蛭魔を頼むな」
「良かったですね蛭魔君」
「糞ジジイに糞ハゲ!何ほざいてやがる!」
「いや~良かった良かった。なぁ、蛭魔」
「本当に良かったね蛭魔!」
ニヤニヤ笑う武蔵に満面の笑みの栗田。
何もかもが癪に触って喚いてみるがどれも「良かった」の言葉に呑み込まれる。
「糞!」
「良かった」が溢れる部室の中に蛭魔の言葉は虚しく消えた。
終わり
季節外れの卒業ネタ★
性懲りもなく、今も卒業ネタ書いてたりします。
17000記念は 卒業ネタになるか、蛭魔お誕生日ネタになるか?
とりあえず 書きあげれた方になりますv
頑張るぞー!
posted by 春海 さな
at 23:32:54 │
EDIT
眠いです。
眠すぎです。
なんて眠いんだー!
もう目がオロオロです。
焦点が定まりません。
一日走り回っていたので疲れ果てました・・・。
寝なければ・・・・もたない。
あ~ なんか そんな蛭魔のお話読みたい。
読みたいけど 考え付かない。
私の脳みそが オーバーヒートしそうだから★
とりあえず寝てから考えよう・・・・。
『sigh』に拍手して下さった方
ありがとうございますv
毎回、最後にタイトルを考えるので とってもいい加減です。
たまにはまともなのを・・・と思うのですが 頭が無いのでダメです★
他の素敵サイト様のような タイトルだけでも素敵!ってなのをいつか考えれたら良いなあ~って思ってたりします。

Pause
部活終了後、部室に居残っての書類整理もなんとか目処がたった。
ほっとしたせいかまもりは急にコーヒーが飲みたくなり、一息つくことにして、自分のコーヒーと一緒に、同じくデータ入力で居残りしている蛭魔のコーヒーも入れる。
「はい、蛭魔君どうぞ」
テーブルにコーヒーを置くと、蛭魔は一瞥することもなくカップへと手を伸ばし口元へはこんだ。
コーヒーを咽下した時に動く喉仏をぼんやりと見ながらまもりはミルクと砂糖たっぷりのコーヒーを口に含んだ。
「蛭魔君って不思議よね」
「あん?」
「かなりコーヒーの味に煩いクセに自分や私以外の誰かが入れる時はインスタントでぜんぜん構わないし、料理も結構 美食家だし、私の料理には色々味付けに煩いのに1年のマネージャーの料理は味つけに文句言わず黙って食べるし、なければ別にコンビニ弁当でもインスタントでも構わないし…拘りが有るんだか無いんだかわからないんだもん」
まもりの言葉にまたしょうもない事を考えてやがると思ったものの、とりあえず無駄話に付き合うことにした。
「じゃあ、てめえ、空飛んでみろ」
「は?」
「今すぐここで空飛んで見せろっつってんだよ」
「はぁ?無理に決まってるでしょ?!せめて人間ができる事を言って下さい」
「じゃあ、これ一気飲みしてみろ」
そう言って蛭魔は自分のコーヒーをまもりに差し出した。
「一体なんなの?確かに人間にできる事だけど、そんな苦いコーヒー飲むなんて私には無理!」
「ほらみろ、人間やれる事とやれない事がある。今はやれない事でも、コツを掴んですぐにできるようになる奴も居れば、いつまでたってもできない奴もいる」
まもりは今イチ蛭魔の言わんとすることがわからず尋ねた。
「だから?」
「だ・か・ら、使える奴は使うし、使えねぇ奴は使わねぇ」
「…それって…私に色々言うのは使える奴だからって事?そう言う事よね?」
「ケケケ。自意識過剰」
それだけ言うと蛭魔は休憩は終わりだとばかりに一気にコーヒーを飲み干し再びパソコンへと向かった。
そんな蛭魔に小さな溜め息をつくと、まもりもコーヒーを飲み干して書類へ目を落とした。
その時、ふと以前読んだアメフト雑誌に載った蛭魔のインタビュー記事を思い出した。
『好きなタイプ』について、蛭魔は一言『使える女』と答えていた。
・・・・・・・・・『使える女』かぁ。
その『使える女』が私だったら嬉しいな。
自分の考えに照れて顔をあげると、訝しげな顔してまもりを見ている蛭魔と目があった。
「気持ち悪ィ奴…」
「うっ、ウルサイです!」
怒って再び書類へと目を落としたまもりに蛭魔は笑みを浮かべると自分も再びパソコンへと視線を落とした。
end
眠いです。
わけわからない話ですみません。
眠いので寝ます。
宿題もなんとか済んだし★
おやすみなさい!!
posted by 春海 さな
at 22:57:06 │
EDIT
カウンターが15000を超えたので記念小説UPしま~す♪
石丸のように地味~に、しかし着実にカウンターは進んでますよv
今回のお話もオリキャラ登場★
本当に・・・・オリキャラ使わなきゃお話書けないんかい!?って感じですね★
えぇ、書けないんです・・・。
蛭×姉サイト様をめぐっていますと 短いのに素敵なお話が沢山あって、こんな短くまとまったお話が書いてみたい!と考えたのが今回のお話です。
はたして本当にまとまっているのか!?
う~ん・・・・。
少しでも楽しんで頂けましたあ幸いですv

sigh
「ねぇねぇ姉崎さん」
「はい?」
三年生になっても相変わらず続いている朝練を終え、教室に入り自分の席についた途端、クラスメイトの数人の女子が声をかけて来た。
「ねぇ、福山君に告白されたって本当!?」
「告白断ったって本当?!」
「なんで断ったの?!」
「福山君って言ったらミスター泥門だよ?!」
「あんな格好良い人に告白されたのに断るなんて信じられない!」
「……なんで断ったこと知ってるの?」
「やだぁ!福山君は親衛隊やファンクラブがあるくらい人気なのよ?」
「彼の一挙手一投足、鵜の目鷹の目で見てる子 多いんだからその位の情報筒抜けよぉ」
まもりは思わず絶句してしまう。
別になんて事はない、「付き合って下さい」「ごめんなさい」程度の会話だったとは言え、あの現場を誰かに覗き見されていたんだと思うとなんだか気分がゲンナリしてくる。
「ねぇねぇ、なんで断ったの?」
「もったいないよぉ~」
「ねぇー」
「私、ほら、あんまり福山君の事 知らないから…」
「えー!知らなくてもあれだけ格好良い人だったら即OKでしょう!」
「だよね~」
「私だったら即行付き合っちゃう!」
「もったいないないよ。あんなに格好良いのに」
「うんうん、姉崎さんと福山君なら美男美女で絶対お似合いだって!」
「今からでも付き合っちゃいなよ!」
「そーそー、絶対お似合いだから!」
口々に発せられる言葉に正直まもりは辟易する。
「うーん…私、本当に福山君の事よく知らないし、みんなが言う程 格好良いとも思わないの。ほら、こう言うのって好みの違いがあるじゃない?ね?」
まもりの言葉に女子達は驚きの声をあげた。
「えー!福山君を格好良いと思わないの?!」
「…整った顔だとは思うけど…」
女子達のあまりの驚きっぷりにまもりは思わず引いてしまう。
「ケケケ!こいつの美術の成績知ってんだろうが。こいつの描く似顔絵みてぇに見えてんなら大抵の奴は不細工に見えんだろ」
突然現れた蛭魔に女子達は固まり、そして思い出した。
先日の席替えでまもりの席の後が蛭魔の席になった事を…。
「ひどっ!誰もあんな風には見えてません!」
「どうだか?見えてねぇなら何であんなひでぇ絵になんだぁ?」
「絵を描くのが苦手なだけです!」
「大体、あんな糞熊と糞甘ぇもんが好きって時点でてめえのセンスは狂ってんだよ!」
「ロケットベアが好きなのも、スイーツが好きなのも女の子なら普通です!」
「てめえ、自分を普通の枠組みに入れようなんざおこがましいぞ?」
「おこがましいって何?!私は普通です!おかしくないです!」
そう言ってにらみ合いが始まったとたん
「あっ…」
まもりは何か思い当たる事があったらしく黙りこんでしまった。
「どうしたの姉崎さん?」
「大丈夫?」
「蛭魔君あんまりだよ…まもが姉崎さんが可哀想」
それまで固まっていた女子がまもりの異変に気付き声をかけた。
まもりは「大丈夫…」とだけ言って深いため息をついた。
「本当に大丈夫?」
「保健室行く?」
「少し休んだ方が良いよ?」
「有り難う。本当に大丈夫よ。ただ、ちょっと思い当たる事があってショック受けちゃったって言うか…」
「ショック?」
「うん。自分のセンスはやっぱりおかしいのかなぁって…」
「いい加減認めやがれ!てめえは変なんだよ!」
「…そうかも…」
そう言って再び深いため息をつく。
「みんなが格好良いって言う福山君はそんな格好良いって思わないのに、みんなに嫌われてる蛭魔君はたまに格好良いって思っちゃうんだもん…。やっぱりこれって、私のセンスが人と違って変だからなのよね…?変って事よね…」
盛大な溜め息を連発するまもりにかける言葉を女子達は持っていなかった。
「やっぱり私って変なんだぁ…」
ひとり落ち込むまもりに、蛭魔は「糞っ!」と悪態をついた。
END
えぇ~と いかがだったでしょうか?
私の話にしては珍しく 蛭魔さんがまもりにやられてるお話です★
ミスター泥門の福山君は 某俳優で歌手のあの方です。
友達とか妹とか 凄く格好良い!って言うけど、私は好みではないので 整った顔してるとは思うけどどうとも思わないのですよね。
まあ、そんな所からできたお話でした★
お粗末さまでした。