Change
「はい、どうぞ」
「お、すまんな」
「どういたしまして」
部室増築の設計の話し合いに来た武蔵の前にまもりはいれたばかりのコーヒーを置いた。
部室中にコーヒーの良い薫りが立ちこめる。
「マネージャー業は慣れたか?」
「うん、だいぶね」
「姉崎は一緒にコーヒー飲まないのか?」
「もうちょっと仕事が有るから。じゃあ武蔵君、ごゆっくり」
そう言うと、まもりはファイルを片手に部室から出て行った。
「優秀なマネージャーが入って良かったな」
「ケッ、まだまだだ」
「この部室の様変わりっぷりだけでも姉崎の有能ぶりがわかるな」
「アメフトで使えなきゃ意味ねんだよ」
「姉崎はもてるよな」
「あん?」
突然変わった話題に蛭魔は怪訝な顔をする。
「姉崎を餌に部員勧誘したら 増えるんじゃないか?」
「女目当てで入るような奴が続くかよ」
「好きな女に良い所を見せる為に張り切る奴もいるだろう?あの一年の雷門とか言うレシーバーが良い例じゃねえか」
「アレは単なるアホだ。猿だ猿」
「目的の為なら手段を選ばないのがお前じゃないのか?とりあえず姉崎を利用しない手は無いと思うがな?」
「糞ジジイ。てめえいつからそんな腹黒になりやがったんだ?」
「腹黒いか?そうか?」
「アメフトから離れて身体だけじゃなく頭も耄碌しやがったか?」
「身体は仕事で鍛えてるぞ。別に何も変わっちゃいねえよ」「
……親父もか?」
蛭魔の声のトーンがほんの少し固いものになった。
「あぁ、相変わらずだ。それより大会はこれからが山だろう。利用できるもんは利用して、とにかく部員を増やすべきじゃないか?」
「ケッ。余計なお世話だ。俺には俺の考えがあんだ。俺の計画は今まで一度も狂ったことはねんだよ」
「フッ。相変わらずだな」
ガラリ
部室のドアが開きまもりが入って来た。
「蛭魔君。備品、いくつか購入しなきゃいけないものが有るんだけど、買いに行って来ても良いかしら?これがそのリストなんだけど」
「ふん。良んじゃね」まもりに渡されたリストにざっと目を通して蛭魔は許可を出した。
「じゃあ行ってくるね」
「おい、糞マネ!そう言やあドリンクもう切れるだろう?」
「あ、そっか!でも今日、一緒に買うのは無理かも…」
「チッ。ちょっと待ってろ!すぐ着替えるから」
「一緒に行ってくれるの?助かるわ!ありがとう!蛭魔君ってば優し~vあ、そうだ!じゃあ、他にはないかもう一回確認して来るね!」
まもりはそう言うや再び備品チェックに飛び出して行った。
「蛭魔君ってば優し~……くっ、くくくくくっ」
まもりの声色を真似た武蔵が自分で自分にウケた。
「糞ジジイ!てめえ、さっさと飲んでとっとと帰りヤガレ!」
バシン!
照れからなのか、蛭魔は悪態をつくと乱暴に更衣室のドアを閉めた。
「フッ」
一人になった武蔵は、残りのコーヒー飲みながら改めて様変わりした部室を見回す。
「変わらないものなんて何も無いのかもしれないな…」
部室が劇的に変わったように、蛭魔も、姉崎も、栗田も、その他のメンバー達も少しずつだが、確実に何かが変わって行っている。
自分も変われるだろうか?
また、この場所に戻れる日が来たりするだろうか?
ほんの少しの感傷をコーヒーと共に飲み干して、武蔵は部室を後にした。
END
絵のまずさは目をつぶって下されv
イマイチ蛭魔さんがてれてるように見えなくて残念なり~~~★