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「あれ?まもり姉ちゃん、救急箱出してどうかしたの!?」
「まもりさん 怪我したんすか!?」
放課後、部室にやって来たメンバー達は、救急箱の中を探しているまもりを見て何ごとかと寄って来た。
「あ、違うの。怪我とかじゃないの」
「本当?」
人の事は過剰なくらい心配するのに 自分の事は無頓着に大丈夫と片付けてしまうまもりにメンバー達は素直には引き下がらない。
「本当よ。ちょっとね、虫に刺されたかもしれないから薬でも塗っておこうかと思っただけよ」
「虫に刺された!?」
「何の虫に刺されたの!?」
「まもりさんを刺すなんてケシカラ――ン!」
「まさか蜂とかヤバい虫か!?」
「病院行った方が良んじゃね?」
虫に刺されたと聞いた途端、慌てだしたメンバーを、まもりは急いで制した。
「大丈夫!大丈夫だから!本当に!ちょっと赤くなってるから薬でもって思っただけで、痛くも痒くもないの。放っておいても大丈夫な位の虫刺されなの」
「痒くも痛くもないの?」
「うん。制服の時には気付かなかったんだけど、Tシャツに着替えた時に鏡を見て気付いたの。だから本当に痛くも痒くもないのよ」
「どんな感じに赤いの?」
「ほら、ここ。わかる?Tシャツからギリギリ出る辺り。鎖骨の所」
「あ、本当だ」
「ぽつんと赤いっすね」
「何の虫に刺されたんだろ?蚊じゃないよね」
「他には大丈夫なんすか?」
「うーん、多分。痛くも痒くもないからわからないけど…」
セナ達の後ろからまもりを見ていた戸叶が隣に立っている十文字に声をかけた。
「おい。アレって…」
「あぁ…」
「だよなぁ…」
ガラリ
「あれぇ?みんなどうしたの?」
ドアが開き栗田と武蔵が入って来た。
何ごとが起きているのかわからない二人にモン太が身振り手振りで現状を説明した。
「虫刺されの薬は救急箱には入ってないよね。買いに行った方が良いかな?」
「いや、それは…」
まもりの虫刺されの痕を見て、薬を買いに行くべきか思案する栗田に、何かを悟った武蔵は言葉をつまらせる。
「何やってやがる?さっさと部活の準備しやがれ!!」
部室に入って来るなり、着替えも準備も済んでいないメンバーに蛭魔がキレた。
「だって蛭魔~」
慌てて栗田が蛭魔を止めてわけを話した。
「………」
栗田から簡単な説明を受けた蛭魔はまもりを一瞥すると、再びキレて銃を乱射した。
「下らねー事やってねーで、とっとと準備しやがれ!!」
「ヒィィ~~!」
「ハイィーー!」
セナ達は慌てて着替えるとグランドへと転がるように飛び出して行った。
「もう!蛭魔君!」
まもりの文句を無視して救急箱の中を乱暴にあさると、蛭魔はまもりに何かを差し出した。
「何?」
渡されたのは小さな絆創膏。
「そう言う時はバレねえようにこっそり貼っとくモンなんだよ!ったく」
「へ?」
まもりは言われた意味がわからず、グランドへと出て行った蛭魔と自分の手の中の絆創膏を見比べ、そして鏡に映った自分を見て――――………
「!!!」
虫の正体に気付いたまもりは一人、部室で真っ赤になったのだった★
終わり
ありがちネタ~★
夏だから 頭がゆだってるから~ 許してネv

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