ゴールデンタイムラバー6
河川じきが広いおかげで観客でぎゅうぎゅうということはなく、メンバーは思い思いの場所で、屋台で買った物を食べながらくつろいで花火を眺めることができた。
「てめえは座らねえのか?」
一人、土手の上に立ち、花火を眺めていたまもりは突然、後ろから声をかけられて驚いて振り返った。
そこには、土手に向かう途中に姿が見えなくなっていた蛭魔がいた。
蛭魔はつまらなそうな顔で牛串を食べている。
もしかしたら帰ったのかもと、少々不安になっていたまもりは思わず笑ってしまった。
「んっだよ」
「ん、何でもない。浴衣が汚れたら困るから草の上に座るのはちょっとね。武蔵君達ならあそこにいるよ?」
少し離れた場所にメンバーがそれぞれ思い思いに座って花火を見物しているのが見える。
「ふーん」
蛭魔はそちらをチラリと見ただけで武蔵達の所へ行こうとはしない。
二人はそのまま並んでしばし花火を黙って眺めた。
色とりどりの花火が夜空を華やかに彩る。
花火も佳境に入る頃には観客も増え、さすがにまもり達の周りもかなり混雑して来た。
「チッ」
蛭魔の舌打ちが聞こえた。
もうそろそろ限界かな?
蛭魔にしては黙ってみんなに付き合った方かもしれない。
花火を見ながらまもりがそんな事をつらつら考えていると、突然、手を握りしめられた。
何事?!
驚いて蛭魔を見ると、やけに不機嫌な顔をしていた。
「…どうかしたの?」
「もうじき花火が終わる」
そう言われて時計を見ると確かに後、30分程で花火終了予定時刻だ。
「ガキのお守りは終了だ。十分付き合っただろ」
「帰るの?」
「帰る」
「この手はどうするの?」
「てめえはどうする?子守りを続けるか、当初の予定に戻すか、好きにしやがれ」
「……セナ達、探すんじゃないかな」
「メールで事後報告」
「でも…」
「ガキじゃねんだから大丈夫だろ」
「さっきはガキの子守りって言ったクセに」
「……」
「……そうよね。もう子供じゃないものね。…うん。じゃあ、行こっか?」
「…おう」
溢れる人ごみに紛れて二人はそっとその場を後にした。
人ごみの中を離ればなれにならないように手を繋いで歩く。
背後ではまだ花火が次々と上がっている。
セナ達のこともあり、まもりは後ろ髪を引かれる思いを抱えながらも歩みを止める事はなかった。
続く
・・・・・・・・・・・・・ここで終わっても構わないような?
構わないよね?
構わない。
終わってしまうか★
う~ん この後の蛭魔次第ですねv

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