ゴールデンタイムラバー Last
蛭魔の家に何度か来た事のあるまもりだったが、まさかリビングのベランダからこんなに花火が間近に見えるとは思わなかった。
ほぼ真正面に見える花火に目の前一面が覆われる程だ。
「凄い…」
最後に有終の美を飾る為、これでもかと言わんばかりに次々と打ち上げられる花火のあまりの迫力に圧倒されて言葉を失う。
いつの間に持って来たのか、缶ビールを飲みながら隣りで花火を見ている蛭魔にまもりはそっともたれかかった。
そんなまもりの肩を蛭魔が引き寄せ、自然と口づけをかわす。
何もかもチクチクと尖っていて触れると痛そうな蛭魔のキスは意外にも優しくて甘くて、まもりは蛭魔とキスするだけでうっとりと幸せな気持ちになってしまう。
気づいた時には花火は終わっていたが、まもりは蛭魔に抱き締められてキスの余韻に浸っていた。
「チッ。和装ブラか」
蛭魔の呟きにまもりは一気に現実へ引き戻される。
「な…何で浴衣の上からわかるのよ?!って言うか何で蛭魔君そんな事まで知ってんのよ?!」
顔を真っ赤にしてキャーキャー言うまもりに蛭魔は嫌そうに顔をしかめるが、まもりを抱き締める腕はゆるめない。
「あ―――ウルセ――。浴衣ってのは色っぽいが、脱がせるのが色っぽくねんだよなァ」
「なっ、なんてこと言うのよ!?」
「てめえこそその気があんなら和装ブラだのタオルだのしてくんな!」
「だって、和装ブラちゃんとしないと変なんだもん…しょうがないじゃない」
「着物ってのは寸胴程良いからな。ま、てめえもそのうちいらなくなんだろ」
「それどう言う意味?!」
「かき氷、わたあめ、リンゴ飴、とどめは生クリームとカスタードたっぷりの上にチョコまでかけた糞気持ち悪ぃクレープ。あれだけ食ってりゃ寸胴になんのは時間の問題だろ」
「失礼ね!大丈夫です!って、何で私達、抱き合ったまま喧嘩してるのよ?!」
「知るか!」
「だいたい蛭魔君はねえ…」
「あ――腹減ったな。何か食べに行くか?そのついでに送ってやるよ」
「えっ?でも…」
「んっな格好でやれるわけねえだろ」
「なっ、だからそう言う事は…」
あられもない蛭魔の発言にまもりは口をパクパクさせる。
「門限あんだからしょうがねえだろ。着付けし直して、頭直しってたら時間が足りねえだろうが。それとも頭ほどいて帰るか?どこで風呂入って来た!?って親、泡食うぞ」
「うっ…」
そう言われればまもりは何も言えない。
「しょうがねえだろ。祭り行って、花火は家でまったりしながら見る予定だったのを糞ガキ共に延々付き合っちまたんだからな」
「うん…」
「消化不良は御互い様だ。今度は温泉でも連れてってやるよ」
「えっ!本当に?!」
思いもよらぬ蛭魔の言葉にまもりは顔を輝かせる。
「おう。温泉の浴衣なら脱がせやすいからな」
「そんな所に拘らないでよ!!」
「行かねえのか?」
「……行きます」
「つ―わけで、とりあえず飯行くか」
「…うん。えっ?」
蛭魔が首筋に顔をうずめて来たのでまもりはどぎまぎする。
「良し。行くか」
そう言うや蛭魔は勢い良くまもりをはなすとさっさと玄関へと向かった。
「な、何?今の」
「その気になったモン抑え込むには勢いがいんだよ。んっな所でトロトロしてっと襲うぞ」
「だからそう言う事は…ちょっと待ってよ!」
蛭魔に置いていかれないように、まもりは巾着とロケットベアを掴むと慌てて玄関へと向かった。
END
なんだか凄く期待させておきながら とんだ肩すかしな終わりだったんじゃないかと・・・・・。
私の書く話に期待は禁物っすよ~~~!!
精進します・・・・。

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