ゴールデンタイムラバー5
「こうなったら妖一兄がやるしかないね!」
「何がこうなったらだ」
鼻息荒く言い切る鈴音に蛭魔は冷めた視線を投げつける。
「まも姐が欲しがってるんだもん。ロケットベア撃ち落とすくらい妖一兄にはへともないでしょ?それとも普段あんなに銃乱射してるけど射的は苦手?」
「その手に乗る程、俺は安くねえよ」
「え~、まも姐が可哀想じゃん!ねぇねぇ、妖一兄お願い!!」
「そんなに欲しけりゃ自分でとりゃ良いだろ」
「え~、妖一兄にとってもらうってのがミソなのに~!」
「ケッ。ミソってなんだ」
「良いのよ鈴音ちゃん。自分でチャレンジしてみるから」蛭
魔の後ろから出てきたまもりは、ムン!と腕捲りをして射的へと向かった。
浴衣姿も艶やかな美少女がまくりあげた袖から白くて細い腕を晒して不似合いな銃を構える。
その姿はなんとも色っぽく、思わず目が釘付けになる。
皆が固唾を飲んで見守る中、まもりは一発目と二発目を惜しくも外した。
三発目は見事、命中したものの弾の威力が弱く、賞品が半分回転しただけにとどまった。
残りは二発。
神経を集中して撃ったものの弾道は無情にもそれて賞品ゲットとはならなかった。
願いを託して最後の弾を込める。
真剣な顔で銃を構えようとした瞬間、後ろからヒョイっと銃を奪われた。
「たったこんだけの事にどんだけダラダラ時間かけりゃ気が済むんだ?」
「だって…」
「こんなもん、一瞬だろうが」
そう言うと、蛭魔は銃を片手で持ち、あっさり最後の弾を撃った。
腕を台について三脚を作ることもなく、脇と頬で銃身を固定することもなく、じっくり狙いを定める事もなく、普通に立ち、右手だけで持った銃を前につき出して撃つと云う何気ない動作だが、素人目にも銃を扱い慣れているのがわかる綺麗な動きだった。
パスンッ!
蛭魔の放った弾丸は当然のようにロケットベアを撃ち落とした。
本当に今までと同じ銃だったのか?と疑いたくなるくらい弾の勢いまで違って見えた程だ。
一瞬の静寂の後、周りで見ていた野次馬から割れんばかりの歓声があがる。
露店商から賞品のロケットベアを受け取った蛭魔は、さすがQBのコントロールでまもりへと投げてよこした。
受け取ったまもりはまじまじとロケットベアを見つめた後、とびきりの笑顔で「ありがとう」と頬を染めながらお礼を言った。
蛭魔が何か言おうと口を開いた瞬間、近くで爆発音が響き渡った。
「あ!花火が始まったんだ!ねぇ、土手に座って見ようよ!早く早く!」
「鈴音!待ってよー!ほら、モン太、チョコバナナ奢るから元気出して!ね?」
はずれた賞品を山盛り抱えて意気消沈のモン太を励ましながらセナが引っ張って行く。
「俺らも行くか」
「せっかくだしな」
「俺、ホルモンうどん買って食いながら見ようっと」
「じゃあ、俺、焼きそば!」
「フライドポテト食おうかな」
「うわ!ビール飲みたくなるじゃねえか!」
わいわいと三兄弟もセナ達の後に続き、その後ろにやはり色々買い込んだ栗田達が歩く。
まもり達もみんなの後に続いた。
続く
続き、ちょっとあくかも?
この連休はいそがしいもので・・・・。
なるべく早くUPできるように頑張ります!

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