ゴールデンタイムラバー4
「つーわけで、蛭魔先輩!銃の撃ち方教えて下さいっ!」
「的狙って、銃構えて、撃つだけだ」
暑苦しいほど燃えて銃の撃ち方の指南を乞うモン太に、蛭魔は冷めきった目でアドバイスになりもしないアドバイスを送る。
「いやいやいや。蛭魔先輩、もっと詳しいアドバイスをお願いしますよ!」
やたらと必死なモン太に、蛭魔は仕方なくレクチャーする。
「まず、コルクの弾は歪みの無い綺麗なのをチョイスしろ」
モン太とセナは慌てて皿の中の5個のコルク弾の中からなるべく形の良い物を選ぶと銃に込めようとした。
「まだ弾込めんな。込めるのはレバー引いてからだ。弾込めてレバー引いたんじゃ、弾が蓋してるせいで銃ん中の空気が少なくなるだろうが。銃ん中の空気は弾の威力に影響すんだよ」
「あぁ、なるほど!」
二人は急いでレバーを引いてから弾を込めた。
「銃は利き手の逆、左手に持て」
「え?どうしてですか?」
「利き手だと銃が軽いから力が強すぎて照準がブレんだよ」
「そうなんだ」
「なるほどナァ」
左手に銃を持ちかえると、二人は出来るだけ身体を台から前に乗り出して銃をかざした。
はたからみるとなんとも情けない格好だ。
「アホか!んっなどドシロートな構えすんじゃねえ!」
蛭魔の怒声に二人はびくっとなったが、内心では「普通の人はみんな、どシロートです」と反論した。
「台にひじついて自分の手で三脚作んだよ!銃は脇と頬でしっかり固定して構えろ」
「「はいっ!」」
二人とも、真剣そのもので蛭魔の言う通りに銃を構えた。
「狙いは的の右端上部。反動で後方に回転させて落とす。弾の照準は目的地点の4、5cm上に設定しろ」
「え?それってハズレません?」
「弾が的に当たる時には弾道が下がってんだよ。この距離だと弾は4、5cm下がるから、それ計算に入れんだよ」
たかが屋台の射的にそこまで考えるのかと、セナ達は蛭魔の計算高さに改めて感服する。
そんなセナ達を取り囲んで見ていたメンバーの後ろには、何事があるのかと足を止めた野次馬の人垣がいつの間にか何重にも出来ていた。
「おら、狙い定めて撃ちこみやがれ!」
セナもモン太も言われた通りに照準を合わせると引き金をひいた。
ポコン!
ポスッ!
二人とも商品を見事撃ち落とした。
一発で希望通りパンダ軍曹を獲得したセナに、鈴音は飛び上がって喜ぶ。
人垣を作っている野次馬からも歓声と拍手が上がった。
一方、モン太はと言うと、こちらも一発で賞品はゲットしたものの、見事撃ち落としたのはロケットベアの二つ隣のビニール人形で、しかもそのビニール人形が、誰がこんなのもらって喜ぶんだ?って言うか、何でこんなのが賞品であるの?薬局の専用コーナーの天井にぶら下がってたやつじゃないの?って言うようなやつで、まもり等はモン太がソレを当てた瞬間、さっと蛭魔の後ろに隠れてしまった。
要するにモン太が見事に当てたのは、まもりの大嫌いな黒い虫のビニール人形だったのだ。
オモチャと言えども嫌なモノは嫌なわけで、黒い虫のビニール人形を持ったモン太にまもりが近づくことはなく、そんなまもりの様子に涙したモン太は、残りの自分の弾と、セナの弾で、ロケットベアをゲットすべくチャレンジした。
その弾は見事、全弾命中したものの、わざとなの?と言う位、当たるのはロケットベアの周りの賞品ばかりで、結局、ロケットベア獲得はならなかった。
うちひしがれるモン太を蛭魔の後ろから顔を覗かせたまもりが慰めるが、そんなまもりの態度は余計にモン太を落ち込ませるものでしかなかった。
続く
あはははは~
ごめんねモン太★

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