ゴールデンタイムラバー7
脇道へそれるとすぐに人ごみはなくなった。
それでも二人は繋いだ手をほどかない。
背後では花火の打ち上げが続いている。
でも…。
「やっぱり最後まで花火ちょっと見ていたかったかも」
小さなまもりの呟きに蛭魔の眉がピクリと反応するのを見て、まもりは慌てて言い訳する。
「だってほら、去年はデスマーチで花火見れなかったじゃない?だから花火なんて久しぶりだし、それに…」
どもるまもりに蛭魔は視線を向ける。
蛭魔と繋いだ手とは反対の手でロケットベアを抱き締めているまもりの頬はほんのり染まっている。
「蛭魔君と花火見るの初めてだったから…」
「学校燃やした時も花火やってただろうが」
「あの花火と今日の花火は別なの!だって、あの時は手なんて繋いでなかったし…」
真っ赤になってうつむくまもりに蛭魔は内心で舌打ちをした。
まったく自分らしくない感情が胸のうちで吹き荒れたのを抑える為だったのだが、上手く抑え込む事は叶わず、思わず蛭魔は繋いだ 手に力がこもった。
自分が甘くなったのか、こいつの甘さがうつったのか?
朱に交わればなんとやら…
ただただ真面目一本気だった風紀委員が随分くだけたもんだと思っていたが、どうやら自分も同じ穴の狢だったらしい。
「急ぎゃあ最後が見れんだろ」
胸の内の想いなど微塵も悟られぬよう、いたって普通の顔をして少し歩調を速める。
その歩調に合わせるようにまもりの下駄もカランコロンと涼し気な音を響かせた。
到着したのは蛭魔のマンション。
実はまもりのたっての願いにより、二人で祭りに行く予定だったのだ。
メンバー達からのお誘いは、普段のまもりなら嬉しい事なのだが今日は少々複雑だった。
みんなで行くなんて蛭魔がヘソを曲げて帰ってしまうかもしれない不安もあったから余計だ。
だから蛭魔がちゃんとみんなとお祭りに参加してくれた事も、二人で抜けようと誘ってくれた事も本当に嬉しかった。
蛭魔の部屋に向かうエレベーターの中でセナの携帯に短いメールを送った。
きっと花火大会が終わるまで着信には気付かないだろうな…。
申し訳ない気持ちもあるのだが、やはりそれ以上に二人でいたいと言う思いが強くて譲れなかった。
静かにエレベーターが開いて先にまもりが降りる。
まもりが降りるまで蛭魔はエレベーターの開くボタンを押してくれている。
今日だけの事ではない、いつもそうだ。
もし、他にも人が乗っていたとしたら、最後の人が降りるまで押している。
それだけではない、道路を歩く時、蛭魔はいつの間にか必ず車道側を歩いてくれている。
唯我独尊、傍若無人と言われている蛭魔が、実は自然とそんな気遣いができる人なんだと、初めて一緒に部の買い出しに出かけた時に気付いた。
その瞬間、まもりはそれまで天敵としか思わなかった蛭魔と言う人間をちょっと見直した。
それから色んな蛭魔を見るうちに自然と好きだと言う気持ちが芽生えた。
ささいなきっかけだったが、まもりはエレベーターの開くボタンを押す蛭魔を見るたび、その時の事を思い出して幸せな気持ちになる。
蛭魔がエレベーターから降りて来るのを待ってまもりは蛭魔の腕に自分の腕を絡めた。
続く
もう少し書いてたんですけど、まだ途中だし、切りが悪かったので今日はここまでで切っちゃいました★
も~ 私の趣味全開で恥ずかしいったら!
私、ただただ優しいだけの男って好きじゃないんですよ。
普段はそんなに気を使う人じゃなくて良いんです。
どっちか言うと 優しくてやたら甘い言葉や気を使う男は信用しないって言うか嫌い。
ただ ふっと気づいた時、この人ってこんな事が自然とできる人なんだって思える人が好きですv
自然と車道側を歩く男は良いよね!
別にフェミニストではなくてよいのよ。
バッグ持ってくれなくても、ドアをいちいち開けてくれなくても良いの。
車道側を歩くとか、エレベーターのボタンを押してくれてるとか 守ってくれてるっぽくないですか?
そう云うのにときめく奴なんです。
私のツボって結構人とかけ離れてるので意味がわからないって言われるかも~~★
あ~・・・
次くらいで終わり・・・かな?
とりあえず百面相しながらちまちま書いてます。
後少し。
明日、Upできるかな?

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