私がいない貴方は
「愛してる…」
そう呟くように言い残して、寝息を立ててしまった蛭魔君
その頬には確かに涙の跡が残っていて
その涙を流させたのは私ね
その事に幸せを感じていても貴方は怒らないかしら?
私はあなたにとってどういう存在なのか
それが気になって仕方がなかった
アメリカに渡る時も当然のように私の分のチケットを取っていたし、部屋だって私と二人で借りている事になっている
恋人なの? それとも婚約者?
結婚はしていないから夫婦ではないわね
NFLに入ってから彼は一層忙しくなった
私も彼を支えるべく、家事一切と敵チームのデータをまとめたりした
しかし、その生活が何年も続くと次第に私には不安に駆られる余裕が出来てしまった
私ばっかり忙しいのでは?
他に女の人がいて、私は利用されているだけなのかも?
一度疑い始めるとそれはとどまるところを知らない
次から次へと生まれる黒い感情
それに戸惑う暇は私に与えられなかった
そして私は、昔友達に聞いた彼氏の愛を確かめる方法を実行に移した
メモを無造作に引きちぎり、黒一色で迷わずこう記す
〝もう疲れたの。ごめんなさい〟
自分の荷物をまとめ、彼には見つからないような場所に隠す
部屋は恐ろしいほどきれいにし、その日の最後の仕事までを終わらせておく
そして自分は近くの喫茶店にでも行って彼が部屋に入るのを確認してから後の状況を観察する
この方法はうまくいった
確かにうまくはいったもののそこに見た状況は私の度肝を抜いた
あの蛭魔君が私の名を叫ぶように呼び、いない事がわかっている部屋を何度も探し回るのだ
その顔にいつものポーカーフェイスはなく
例えるならば…そう、迷子の子
親とはぐれて、どうしたらいいのかわからなくなった子供のよう
「まもりまもりまもりまもりまもりっっ!!!!!」
「…なに、蛭魔くん?」
私はついに出てしまった
私の声に振り返った蛭魔君は私の姿を見るや否や私の胸に飛び込んできた
泣きじゃくる蛭魔君は本当に子どものようで
そして安心すると一気に眠りに落ちてしまったのであった
眠る蛭魔君は私に体をすべて預けて、幸せそうな顔で寝息を立てる
可愛いと思ってしまうのは完全に彼に惚れてしまったからかしら?
「本当に可愛い…」
でも
「私に以外にその姿を見せないでよ…妖一」
愛しい貴方の名を呼ぶ私
きっとあなたに同じことをされたら…
私もあなたと同じことをするかもしれないわね
ありがとう
私を愛してくれてありがとう
「愛してるわ…わたしも」
いまだけは
貴方の敵がまだ目に見えないうちは
ただいい夢を見て……――――
END
こう云うお話、私にはなかなか書けないんですよね~。
こればかりは個性の差ですよね。
ラブラブなお話~~~ うっとり~~~vv
風龍凪さま 有難うございました!!
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