また逢いましょう 3
蛭魔が居なくなったとたん、前よりも強い孤独感に襲われて崩れ落ちるようにベンチへ座った。
だんだん辺りは暗くなってきている。
一文無しのまもりはどこにも行くことができず、ただただベンチに座って途方にくれるしかなかった。
「ほら」
「きゃー!!」
いきなり背後から頬っぺたに冷たいものをおし当てられてまもりは飛び上がるほど驚いた。
「んっな驚くほどのもんじゃねえだろ」
振り返るとそこには缶コーヒーを持った蛭魔が立っていた。
「蛭魔君。帰ったんじゃなかったの?」
「あんたこそ。もう暗くなんぞ?やべえんじゃね?」
「…帰れないのよ…」
「あ?なに?だっせぇ。家出か?」
「違います!違うけど…帰れないの」
「ふーん。ほら」
蛭魔が放ってきた缶を慌ててキャッチするとそれはミルクティーだった。
「これ…くれるの?」
「うん」
「蛭魔君、良く私がミルクティー好きってわかったね」
「女ってのはたいてい甘くせぇモンが好きだろ」
そう云う蛭魔の持っている缶コーヒーはUCCの赤い缶。
高校生の蛭魔なら逆立ちしても飲まない代物で、それを大人ぶって飲んでいる小学生の蛭魔にまもりは笑みが浮かぶ。
「ありがとう。もらうね」
礼を言い、プルタブを開けて飲んだミルクティーはいつもより甘く感じられて、心身共に疲れはてていたまもりの身体に染み渡った。
「いつまでここにいるんだ?」
「うーん…行くところないし…お金もないし…」
「家出のクセに金持って来なかったのか?」
「家出じゃないってば。気がついたらここにいたの」
「は?頭大丈夫か?」
「…多分。私ね、頭おかしいと思われるかもしれないけど8年後の未来から来たの」
「…タイムトラベルってやつか?」
「そう」
「やっぱ頭おかしいだろ?」
「失礼ね!…まあ、自分でも信じられないんだけどね。何でこんな事になっちゃったのか全くわからないんだもの」
「何でこんな事になったのかなんか思い当たることないのか?」
「うーん」
「こんな事になる前どこで何してたんだ?」
「どこって…学校にいたわ。蛭魔君と一緒にいたんだよ」
「はぁ?俺と?」
「うん」
「その制服って泥門だろ?」
「そうよ」
「何で俺があんな偏差値低い糞校に行ってんだ?」
「糞校って…本当に小さい時から口悪かったのね。目標があって泥門を選んだのよ。それに泥門はとっても自由で良い学校よ?蛭魔君なんて学校牛耳ってのびのびとしてるよ」
「目標って?」
「…それは自分で見つけなきゃ」
「ケチくせぇの。まあ、牛耳ってんなら良いや」
「良いんだ」
「別に。俺なら学校がどこだろうが学歴関係なく生きて行けるだろ」
「まあね」
この頃から蛭魔は向かうところ敵なしだったんだとまもりはかわらない蛭魔に呆れた。
蛭魔君…今頃なにしてるかな?
突然居なくなって心配してくれてるかな?
探してくれてるかな?
私、どうなっちゃうんだろう……。
まもりは思わずため息をついた。
「どうすんだ?」
「えっ?」
「ずっとここにいるわけにもいかねぇだろ?」
「うん…」
「どうすんだよ?」
「どうしよう…」
「行くとこねんなら…うち来る?」
「えっ?」
思いがけない申し出に まもりは目を丸くした。
続く
ゲームソフトが~~~・・・
あうぅ~~~

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