また逢いましょう 1
極悪非道な泥門の悪魔への自分の気持ちに気付いた時、ちょっとした葛藤はあったけどすぐに自然に受け入れられた。
それよりも戸惑ったのは、この気持ちを彼に伝えるか否か。
そして、どう伝えるか。
伝えたらどうなるのか、全く想像出来なくて、試合の作戦をたてるよりも悩んだ……なんて言ったら彼に怒られそうだけど、17年の人生で一番悩んだのは本当の話し。
悩んで悩んで自家中毒に陥りかけて、半ばやけくそ気分で彼に告白して……思いもよらず思いが届いた。
まさか両想いになれるなんて!
予想外の出来事に呆然としていた私が気付けば彼の腕の中。
細く見えるけど、しなやかな筋肉をまとった彼の腕はがっしりと力強くて、抱きしめられていると胸の息苦しくなってきた。
間近に迫る彼の顔に、自分の顔が真っ赤になるのが分かる。
心臓の鼓動が早くなる。
もうすぐ彼の唇が私の唇に………
そう思った瞬間、私は意識を失った。
「大丈夫ですか?」
遠慮がちにかけられた声にまもりは意識を取り戻した。
目を開けると心配そうな顔で覗きこんでいる女生徒と青空が見えた。
「えっ?!」
驚いてまもりは勢い良く飛び起きた。
そして、自分が今まで転がっていたのは部室のベンチではなく、校舎裏の土の上だと言う事に気付いた。
意識を失った人間を部室の外に放り出す?!
あの悪魔、信じられない!!
「あの…大丈夫?保健室に行く?」
怒りに震えるまもりは声をかけられて正気に戻った。
「あ、ありがとう。大丈夫だから。ごめんなさいね」
笑顔で断りを入れるとまもりは立ち上がり、制服の土を払って悪魔に文句を言うべく部室へと向かった。
部室へと歩き始めたまもりはすぐに違和感に気付いた。
おかしい……。
部室はさっき曲がって来た校舎の先にあったはず……。
入部以来もう何度も通った道だ。
間違えるハズがない。
いま来た道をまもりは引き返す。
この校舎を曲がればその先に派手なネオンの部室が見える――――。
校舎を曲がり、その先の光景にまもりは呆然と立ち尽くした。
部室が無い。
ネオンどころか、部室そのものが存在していないのだ。
蛭魔君の悪行に耐えきれなくなった学校が強制的に撤去した?
そんな気概、あの校長や学校にある訳がない。
やっぱり蛭魔君は悪魔で、急きょ魔界に帰ることになって、自分の痕跡を消す為に部室を消失させた?
学校が強制的に撤去よりは現実的かもだけど、あの悪魔がそんなあっさり魔界に帰るハズがない!
じゃあなんで?
部室があるはずの場所に立ってみる。
そこは先程、まもりが倒れていた場所だった。
続く
うふふ
次の更新はいつかしら・・・・

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