club 9 (4)
だいぶ店の雰囲気に慣れて来たまもりはチラリチラリと周りの様子を伺ってみるが、薄暗い店内はカップルの客が多くあちらこちらで全く周りを気にすることなく密着している。
独特の雰囲気にまもりはなんとも居心地の悪さを感じてのこのこやって来た事を後悔し始めていた。
「ここ空いてる?」
声をかけて来たのは爽やかイケメンな二人連れの男子だった。
女子二人だけでテーブルについている客は珍しく、その二人がなかなかの美貌となると声をかけて来る男は多かったが、それら全て恵里佳が「後から連れが来るから」と断ってくれていたのでまもりはすっかり安心していたのだが、今回は違った。
「二人だけでちょうど退屈してた所だったんですよ~。ね!」
なんて少し鼻にかかったような甘い声を出してまもりにウインクして来たのでまもりは呆気にとられた。
男たちはこれは脈ありチャンスとばかりにまもり達のテーブルにつき、馴れ馴れしくあれやこれやと話しかけて来る。
二人は炎魔大の二年だそうで、この店にはしょっちゅう来ているらしい。
「何度も通ってるけどこんなカワイイ子見たことなかったから出会えてラッキー♪」
なんて頭の軽い事をペラペラ喋りかけてくる。
グラブは初めてで何もわからずとまどっているまもりの為に恵里佳はナンパを全て断ってくれているのだと思っていたがそれ大間違いで、単に恵里佳が好みの男子が来るまで品定めをしていただけだったのだと気付き、まもりは頭を抱えたい気分になった。
そんなまもりに全く気付く事なく、恵里佳は好みなのであろう男とよく話があうようで盛り上がっている。
雰囲気を壊すのも悪いので真面目なまもりは自分に話しかけて来る男ショウと名乗る男に当たり障りのない返事を返すしかなく、正直この場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。
「まもりちゃん!テッペイと踊ってくるね!」
言うや否や恵里佳は二人組の片割れのテッペイと腕をくみステージの人混みへと消えて行った。
「まもりちゃん、ジュース終わりそうだね。同じので良い?奢るから待ってて」
そう言うやまもりの遠慮の言葉も聞かずショウはにこやかに手をふってカウンターへと行ってしまった。
「何やってんだろ…」
一人きりになったまもりは盛大なため息をついた。
本当に自分は何をやっているんだか情けなくなってしまった。
ただ久しぶりに蛭魔と話せたらなんて簡単に思っていた自分が恨めしい。
ため息をつき、視線を上げた先には二階へと続く螺旋階段があった。
そしてその階段を今まさに登って行く蛭魔の姿が目に飛び込んだ。
一瞬、無意識にそちらに向かって行こうとした自分に驚き、まもりは慌てて動きを止めた。
「おまちどうさま」
突然かけられた声に驚き振り返るとそこにはジュースのグラスをにこやかに差し出すショウがいた。
「…ありがとう」
ぎこちない笑顔でまもりはグラスを受け取った。
「何を見てたの?」
「えっ…えっと…」
ショウはまもりが見ていた方向へ視線をむけた。
「…螺旋階段?二階が気になる?」
「え、いやぁ、螺旋階段って珍しいなって思って…」
「二階に行ってみる?」
ニコリと笑顔でショウが提案した。
つづく
短!
オホホホホ
更新がんばります~~~~。
つたない話に拍手とコメントありがとうございます~~~。
見てますよ様
楽しみにしていただきありがとうございます。
ちょびっとずつの更新ですががんばります~~。
気長にお付き合いくださいねv
ハル様
更新が遅くて申し訳ないです~~。
こんな短いんなら毎日でもしろよってところでしょうがなかなか・・・
ゲームしながら舟こぐのやめたら良いんだろうけど・・・ホホホ
赤葡萄様
「プロローグ」気に入って頂けたようで良かったですv
こんなノロノロ更新を沢山更新と云って頂いちゃって・・・申し訳ないやら~~。
どこかにもっとサクサク更新されてる蛭×姉小説サイト様はいらっしゃいませんかね~?

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