Syncopation Love 4
たどり着いたのは駅から歩いて十分ばかりの距離のまだ新しい感じのマンションの一室。
蛭魔は何も言わないが、なんとなく感覚でここは蛭魔の家なのだと思った。
玄関に入るなり蛭魔は持っていた鞄を廊下に放り投げ、さっさと歩いて部屋へと入ってしまった。取
り残されたまもりは辺りを観察した。
玄関に並んだ何足もの靴はどれも蛭魔の物だろう。
廊下の脇には色々な種類の新聞が何列にも山積みされている。
一体、何日分溜めたのかしら……?
ちゃんとリサイクルに出せば良いのに……。
人の家の事ながら思わずため息が出る。
暫く玄関にとどまったものの、「どうぞ」の声もないので勝手に上がる事にした。
スリッパはないようなので「お邪魔します」と断ってそのまま上がった。
蛭魔が入った部屋を覗くとそこはリビングだった。
部屋の中でまず目に飛び込んだのはテレビ等のOA機器。
最新の大容量録画機能を備えた大型テレビに、大型アンプの立派なコンポ、テレビラックにはビデオデッキやらDVDレコーダーやらが何台も設置されている。
機械類に疎いまもりにも、どれもが高機能、そして高額に違いないと思わせる数々だった。
そしてテレビの前には見るからに座り心地の良さそうなソファーと、資料やら空のコーヒーカップやら様々な物が山積みになったサイドテーブル。
サイドテーブルの上だけでは収まらず、床のあちこちに資料とおぼしき紙の束やら、雑誌が何冊も散乱している。
この部屋の床一面に広がった乱雑ぶりは、落ちた物を拾わず蹴ったら蹴ったままにした結果なのだろう。
部屋の隅には壁に沿ってズラリと、良く崩れないものだと感心する高さで本の山がいくつも作られている。
本棚でも買えば良いのに……。
まあ、蛭魔君の事だから本棚買ってもすぐこうなっちゃいそうだけど……。
一通り部屋を見回したまもりは、おそらく、この部屋の蛭魔の定位置であろうソファーに腰掛けた。
見た目通りの座り心地の良さに少なからずまもりは感動を覚えた。
お気に入りの本を読みながら、このソファーでうたた寝なんてしたらとっても気持ち良いんだろうなぁ…。
それにはまずこの部屋の片付けをしなくちゃね。
すっかり自分の世界に入っていたまもりは、突然、首筋に冷たい感触を感じて飛び上がった。
「きゃっ!」
「んっ」
いつの間にか部屋に戻って来た蛭魔がまもりに缶コーヒーを差し出していた。
まもりは自分を驚かせた元凶を蛭魔から受け取る。
「蛭魔君……これブラックなんだけど。コーヒーシュガーとミルクある?」
「んっなモン有るわけねぇだろ」
「普通のお砂糖は?」
「ねえな。普通の牛乳なら有るぞ」
「じゃあ、グラスと牛乳を少し下さい…」
「自分で取ってこい」
そっちと指さして場所を教えると、蛭魔は缶コーヒーを飲みながら自分の定位置へと腰をおろした。
まもりは仕方なく一人でキッチンへと向かった。
まもりはそっとキッチンを覗いてみた。
キッチンはアイランドキッチンがおしゃれなダイニングキッチンだった。良
く考えられた設計で、とても使い勝手が良さそうだ。
蛭魔の片付け能力の無さを知っているまもりは、とんでもなくぐちゃぐちゃだったらどうしようと躊躇していたのだが、それは杞憂に終わった。
圧倒的に少ない調理器具に、まもりはキッチンが散らかっていない理由が読めた。
これなら 大丈夫そう。
多分、アレは出ないよね・・・・。
「牛乳貰いまーす」
誰にともなく断って冷蔵庫を開ける。
「………」
冷蔵庫の中はほぼ空状態で、入っている物と言えば牛乳と缶ビール、缶酎ハイが数本だけ。
食べ物はつまみなのであろうチーズ位だ。
料理好きの母がいる自分の家の冷蔵庫とのあまりの違いに、まもりは唖然としてしまった。
そっと野菜室も開けてみたが、やはりろくに食べ物は入っていない。
……蛭魔君って、一体、何食べてるの?大体、未成年なんだからお酒は駄目でしょう!?
牛乳を唯一あったグラスに入れて、まもりはリビングへと戻った。
続く
たいして進んでない・・・・。
今回の蛭魔さんはマンション暮らしですv
散らかった家の台所は絶対入りたくない!
でも、蛭魔さん家はちらかってるのはきっと紙類で、料理はしない、食材は置いてないだからきっとアレは出ないハズ!!
・・・・元部室のような惨状だったら 私は絶対、家の中には入らず帰るゾ★

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