A or B
クリスマスボウル優勝にワールドユースでも多くのメンバーが活躍した泥門には連日、練習試合の申し込みが殺到していた。
クリスマスボウルで優勝したとは言え泥門が層の厚い磐石なチームに成長した訳ではなく課題は山積みなのが現状だ。
そんな中、引退した新三年生メンバーが居なくても勝てるチーム作りを蛭魔は進めていた。
今年はワールドユースがあったので新人戦までの準備期間が例年に比べ短い。
なんとか新人戦までにチームを作り上げる為には一にも二にも実戦あるのみと考える蛭魔によって、ぎっしりと練習試合が組まれていた。
かく言う今日も近県へ遠征に来ていた。
土日を利用して二泊三日で二試合こなす予定だ。
近県に到着後、蛭魔とどぶろくは対戦相手の高校へ挨拶に行き、その他のメンバーは宿泊先のホテルへと向かった。
メンバーの荷物の積み降ろしの確認にまもりが行かなければならない為、チェックインの手続きは新部長のセナがする事となったのだが―――…。
「明日の朝飯前ですか?」
「はい。当ホテルでは明日の朝食のメニューを洋食か和食かをチェックイン時にお選び頂きチケットをお渡しするシステムになっております」
「はあ…ちょっと待ってください」
セナは慌てて明日の朝食は洋食が良いか和食が良いか、ロビーにたむろっていたメンバーに聞いて回った。
途中からあまりのテンパりっぷりに見かねた鈴音が手伝いを買って出た。
「とりあえずこれでここにいるメンバーには全員聞いたよね?」
「後、聞いてないのはまも姐と妖兄とぶろちゃんの三人だね」
「まもり姉ちゃんは朝は洋食だと思うよ」
「ぶろちゃんは当然、和食だよね」
「問題は蛭魔さんだよね…」
「やっぱ洋食かなぁ?イメージ的に」
「洋食にしといて良いかなァ?万が一外したら恐ろしいナァ…」
「セナ。チェックイン終わった?」
蛭魔の朝食のメニューをどちらにするか迷っている二人にかけられたまもりの声はまさに天の助けだった。
「チェックインする時に明日の朝飯前を洋食か和食か決めとかなきゃいけなくて…」
「ここにいるみんなには聞いたんだけど、妖一兄とかどっちかわからなくて」
「まもり姉ちゃんは洋食で良い?どぶろく先生は和食だよね?蛭魔さんは…やっぱり洋食かなぁ?」
「うん。私は洋食で良いわ。どぶろく先生はやっぱり和食でしょうね。後、蛭魔君も和食でお願い」
「えっ?妖一兄って朝は和食党なの?」
「そうなのよ。自分一人の時はパンなのに人が作る時は和食でなきゃ機嫌悪いのよ。我が儘でしょ~」
「一人の時はパンなの?」
「そうなの。自分でやる時はパンとインスタントや缶のコーヒーで全然かまわないのに私がインスタント入れたら怒るのよ。本当に勝手なんだから困るわよね」
そう言いながらもまもりは満更でもない笑顔を浮かべて、セナからみんなの朝食の希望が書かれたメモ用紙を受け取り確認する。
「じゃあ私が受け付けして来るから、セナ達はみんなと一緒にいてね」
そう言ってまもりはカウンターへと向かていった。
「……まも姐って…妖一兄の朝飯前作ったりしてるって事…かな?」
「さ…さぁ…」
「これは・・・・・・調べる価値有りだよね?!」
「えっ?えぇー…ど、どうかな~…」
しどろもどろするセナを尻目に例のアンテナを立てて鈴音は燃え始める。
「ひぇぇ…鈴音、ヤバいって……」
走り出した鈴音は誰にも止められない。
セナはただただ自分に災いが降りかかりませんようにと祈るだけだった――――…。
終わり
これだけ★
続きもかけそうだけど ひとまずこれにて!
前振りが大げさになりすぎちゃって 申し訳ない~~~。
相もないお話、お粗末でした★

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