君の音 4
階段から落下して床に転がったまもりに女生徒の悲鳴が上がる。
「糞野郎どもどけやがれ!」
蛭魔の一喝でパニックだった生徒達は即座にふたてに別れて道ができた。
「おい、糞マネ。生きてるか?」
「生きてます!いったぁ…」
蛭魔の声にまもりは起き上がったものの、落下した時、肩やらお尻やら打ち付けたようであちこちが痛い。
それでもたいしたことはなさそうだと、手をついて立ち上がろうとした時、手首に激痛が走った。
手首を押さえてうずくまるまもりを無言で抱き上げると蛭魔は足早に保健室へと向かった。
突然の事にまもりは声を発することも忘れて蛭魔の腕の中で固まっていた。
「骨折はしていないようだけど 手首痛めてるからしばらくは湿布して使わないようにね」
「私、この後、ピアノひくことになってるんですけど…」
「ピアノ?あ~無理無理!誰かに代わってもらいなさい」
階段から落ちたまもりは落ちる瞬間とっさに手をつき、手首を痛めてしまった。
他は軽い打撲でたいしたことはなかったがこれではピアノの演奏は無理だ。
音楽室へ帰る二人の間を重苦しい空気がおおう。
「ごめんなさい。こんなことになっちゃって」
「しょうがないよ。怪我がたいしたことなくて良かったわ」
「でもピアノはひけないわ…どうしよう…」
手首の怪我よりもピアノが弾けないことがショックだった。
依子と二人、あんなに頑張ったのに全てを台無しにしてしまった。
頑張りだけじゃない。
二人とも新しい自分に一歩踏み出すきっかけだと思っていたのに…。
ジワリと視界が滲み出す。
「誰かがくたばったわけでもねえのに何 辛気臭くなってんだ」
いつものようにガムをふくらませた蛭魔がぶっきらぼうに言葉を投げた。
「私の怪我のせいでピアノの伴奏が出来なくなっちゃったの…」
「あ?そんなもん誰かに頼みゃいいだろが」
「そんな簡単に代われるわけないでしょ」
「何故?」
「初見ですぐに演奏できて、その上、バイオリンと合わせれる、そんな人をすぐ探しだすなんて無理でしょう!」
「なんで無理って決める?ピアノなんざ所詮 打楽器だろうが。楽譜通りに鍵盤叩けばそれ以外の音は出ねえよ」
ぞんざいな蛭魔の物言いにまもりは今までの依子との頑張りを軽んじられた気がしてカチンと来た。
「理論的にはそうでも 普通の人はできないんです!それとも何?蛭魔君は弾けるとでも言うの?」
まもりの言葉はトゲを含んだものだったが蛭魔はあっさりと返す。
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」
「本当に弾けるんですか!?」
今まで二人のやりとりをおろおろと見ているしかできなかった依子が声をあげた。
続く
私はただ単に蛭魔にピアノを弾かせたいだけだったのに・・・
なんでこんな回りくどいお話しかかけないのかしら・・・?
ようやく次回は念願のピアノを弾く蛭魔!!
それ書いたら満足でお話の続き停滞しちゃったらどうしましょう★
わざわざUPやめて 追加した蛭×姉はどこよ!?と云われそうですが・・・
冒頭の部分です。
最初は保健室での会話からのスタートだったのです。
蛭魔に抱っこされるまもり!
私的には か~なり蛭×姉を色濃くしたつもりなのですが・・・甘い?
私って甘過ぎ?
この程度で蛭×姉などとは片腹痛いですか?
きっと抱っこはお姫様だっこじゃないです。
肩に担ぐか、お子様抱きなんじゃないかな・・・荷物のように。
おんぶではないと思う。

PR