Bottoms up! Last
「おら、帰るぞ」
「嫌!帰りません!私の事 捨てたクセに構わないで下さい!ほっといて!」
「こんなタチの悪ぃモンほっとけるワケねぇだろう」
「姉崎さん。良かったら僕が送ろうか?」
「黙ってろ糞蝿王子!」
「藤間君に酷いこと言わないで!意地悪な蛭魔君なんかに優しくされたくなーい!悪魔は地獄に帰りなさーい!私は強くたくましく1人で生きて行くんだから~!良いモン。蛭魔君が地獄に帰ったって平気だモン!念仏唱えてあげるからさっさと成仏してよね!」
まもりの見事な酔っ払いっぷりに蛭魔の額に青筋が浮かぶ。
「この糞女!酒は飲んでも飲まれんな!珍しくてめえの糞甘え趣味に合わせてやりゃあ、勝手に怒りだすわ挙げ句に逃げ出すわで人の一世一代台無しにしやがって」
「なんで蛭魔君が怒るのよ?!怒るのはいきなりポイ捨てされた私でしょ!」
「誰がポイ捨てしたってんだ?!」
「蛭魔君よっ!ひ…蛭魔君が…くぅ…蛭魔君が私なんてもういらないって言ったじゃない!」
「んっな事 言ってねぇ」
「言ったわよ!姉崎まもりとはおさらばだって言ったじゃない!いらないってことでしょ!?」
「ちげーよ」
「えっ…?」
「てめえは今まで一度も俺のサイン間違えた事ねえのに何でよりにもよって間違えやがる?!」
「間違えた…?」
「あぁ、てめえは間違えたんだよ糞女」
「間違えたって…何を間違えたって言うのよ…」
「俺は確かに姉崎まもりとおさらばだと言った。」
「ほら、間違えてないじゃない」
「但し、それは別れるって意味じゃねぇ」
「えっ?それって…どう言う意味?」
「それは…」
蛭魔が口を開いた瞬間、今まで静かにジャズを奏でていたピアノが突然、『結婚行進曲』をジャズのリズムで鳴り響かせる。
その音に蛭魔の顔が苦虫をかみつぶしたようになった。
「えっ?えっ?えぇえっ?!」
まもりは訳がわからず周りをキョロキョロ見回す。
少し不機嫌な顔をした蛭魔が目に入った瞬間
ポコン!
何かを持った蛭魔の手が頭のてっぺんに置かれた。
頭に当たる固い感触。
「えっ?何?!」
頭の上に何が置かれたのかまもりは手を伸ばして確認する。その手が掴んだものは…。
「!! こ…これって…」
微かに震える手で濃紺色の箱を開くとそこには…
「………はい?」
箱の中はカラだった。
「姉崎まもりとはおさらばするって言ってんだろ」
「えっ?」
蛭魔に左手を引っ張られ立ち上がらせられた。
いきなりだったのでまもりはよろけて思わず蛭魔にすがり付く。
蛭魔にすがり付いた その左手に光る存在に目を見張る。
「姉崎まもりとはおさらばだろ?」
「…うん…うん、うん!」
まもりは思いっ切り蛭魔に抱きついた。
「…おい?」
いつまでも抱きついたまま離れないまもりに声をかけたが返事がない。
「糞!」
なんと、まもりは蛭魔に抱きついたまま眠りこんでいた。
その場にいた全員に同情の目を向けられた蛭魔はもう一度、「糞っ!」と毒づく。
「おい、糞蝿王子。世話になったな。今日は俺のおごりだ。くたばるまで飲みやがれ!」
そう言うと、蛭魔はまもりを抱えて店を去った。
残された藤間がスツールに座り直すと「ご注文は?」バーテンが声をかけてきた。
「ふぅ。なんだか疲れたなぁ…。オススメのカクテルは何かある?」
そう尋ねた藤間にバーテンは手早くカクテルを作り差し出した。
「エンジェルズ・キッスとは…」
差し出されたカクテルに思わず苦笑いを浮かべた。
「そうだね。天使は悪魔に拐われちゃったから僕はこのカクテルで我慢するとしようか」
クレームドカカオに生クリームがフロートされ、チェリーが飾られた愛らしいカクテルに口付けながら藤間は天使と悪魔の未来に乾杯を捧げた。
END
あはははは~
終わりです★
こんなお話でしたがいかだでしたでしょうか?
とりあえず 終わりました!!
次は・・・・どうしましょうかね?
しばらく のんびり絵日記かな~?
ラストの藤間が飲むカクテルで迷いました。
ちょっと皮肉るならマッド・スレード(ぬかるみで滑るって意味のカクテル)
疲れた心を慰めるなら ほっと温まれるアイリッシュ・コーヒーかホット・ウイスキー・トディーだな~って。
結局は、天使のキスはもらえなかった可哀想な藤間君になぐさめとしてエンジェルズ・キッスとなりました★
『エンジェルズ・キッス』
クリームド・カカオ ・・・3/4
生クリーム ・・・1/4
レッドチェリー ・・・1個
グラスに書顔を注ぎ、上から生クリームをフロートする。
チェリーをカクテルピンに串刺しにしてグラスのふちにかける。
実は女性の為のカクテルだそうです★

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