BLOWIN’ 2
「こ…怖かったぁ…」
モン太達が急いで燃えカスを片付け、まもりはようやくルーレット台の上から降りる事ができた。
すっかり気が抜けたデビルバッツメンバーは、いつもより少し早いが練習を終了した。
練習の終わった部室にはまもりの入れた芳ばしいコーヒーの香りと、栗田が買って来たこの時期限定と言うマロンクリームたっぷりのロールケーキの甘い匂いが充満していた。
メンバー達がその美味しさに舌鼓を打つ中、蛭魔は一人、辟易していた。
「おい、そんな糞甘ぇ匂いのモンなんか置いとくから部室に季節はずれのあんなモンが出るんだろうが」
「あら、今まで夏でも出たことなかったのよ?たまたま入り込んだだけよ」
先程の半泣き状態はどこへやら、美味しいロールケーキにすっかりご機嫌のまもりに蛭魔は舌打ちする。
「おい、知ってるか?アイツらは女系家族なんだぞ。家に居着いてるメスんとこに、外からオスが入り婿するんだぜ?てめえと一緒だなぁ ケケケ」
「あんなものと一緒にしないで下さい!大体、私は婿養子派じゃないですから」
蛭魔とまもりの掛け合いを聞きつつ、モン太は一人、「雷門まもりも良いけど、姉崎太郎も良いなぁ~」なんぞと有り得ない未来を想像して悦に入っている。
周りにとってそんなモン太の姿は気持ち悪い事この上なかった。
「殺虫剤で奴らを殺し損ねると、次はその殺虫剤じゃ死なねぇ遺伝子持った奴が生まれんだ。だから最近はそこいらの殺虫剤じゃ殺せねぇのがいるんだぜ。奴らを完璧に殺したいなら殺虫剤なんぞより台所洗剤ぶっかける方が確実で勝負が早えんだぜ。台所洗剤ん中に入ってる界面活性剤で窒息死すんだ…」
「わかった!分かりました!もう十分です!お願いだからもうその話は止めてちょうだい。せっかくのロールケーキが美味しくなくなっちゃうわ」
「あん?人が親切に次に出くわした時の対処法を教えてやってんだろうが」
「絶対チガウ!絶対親切心じゃない!ロールケーキの甘い匂いが嫌だからって人が嫌がる事、そんな延々言わなくても良いじゃない!」
「あんな瀕死の虫けら相手に漏らしそうになってたのは何処のどいつだ?!」
「漏らしそうになんてなってません!嫌いだし怖いんだからしょうがないでしょ?!誰だって怖いもののひとつやふたつは有るでしょ!」
「そうだよ蛭魔。蛭魔は親切で教えてあげてるのかもしれないけど、そんなに姉崎さんの嫌いなものの話してたらせっかくのロールケーキが楽しく食べれないよ?」
険悪な空気が漂い始めたのを察知した栗田が仲裁に入った。
続く
頭の中で蛭魔が無駄知識を色々吹き込んでくれるので嫌になりました。
聞きたくないよ~ そんな話!!
次回、少しはお話が動くかな~?

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