青春REAL 4
「蛭魔のチームが試合に負けたらアメフト部は廃部らしいぞ」
「そうなの?俺に蛭魔が負けたら全校生徒の前で土下座って聞いたぞ?」
「えっ?蛭魔が坊主頭にするんじゃないの?」
「違うよ。学校辞めるって聞いたよ?」
様々な噂話しが飛び交う。
どの噂が本当でどの噂が嘘なのかはわからないが、なんにしても負ける訳には行かないと追い詰められた気分になり、自然とセナ達の応援には熱がこもる。
異様な盛り上がりの中、ホイッスルは吹かれた。
ジャンプボールを手にしたのは桜田チーム。
桜田チームはさすがバスケ部レギュラーが3人いるだけあって連携プレイはお手の物。
軽妙なパス回しで蛭魔チームを翻弄し難なくゴールを決めた。
その後も試合は桜田チームのペースで進んだが思うほど点差が開くことはなかった。
それと言うのも、蛭魔の的確な指示と、それにチームメイトが慣れて動きが良くなった事、そして、前の試合までは指示を出すことに重点を置き、守備に徹して攻撃に積極的に参加しなかった蛭魔が攻撃に加わったことが大きかった。
前半終了―――
蛭魔チームと桜田チームの得点は36対48
「蛭魔って意外と巧いのな」
汗を拭いながらが宮益が感心したように言った。
「あ、俺も思った!ディフェンスはちゃんと腰を低く構えるし、動きへの反応も良いし、あの目でマークされると心ん中まで読まれてる気がするよな」
「あ―わかる!なんかやりにくいよなぁ」
「お前ら何のんきになごんでんだよ!素人の寄せ集め相手にこの点差はねえだろう。後半はガンガン攻めんぞ!気合い入れろよ!」
余裕な態度で談笑する宮益と福田に、思ったほど点差をつけることができなかった桜田はイラつき渇を入れた。
「おいおい桜田、何マジになってんだよ」
「インハイじゃねえぞ。ただの遊びだろ?そんな熱くなんなって」
「俺らがあんな素人の寄せ集めチームに負ける訳ねぇじゃん?」
「こんなお遊びゲーム、マジんなってやるなんて笑われんぜ?」
「あぁ、そうだな…」
二人の言葉に桜田は少し平静を取り戻した。
「悪魔ったって所詮アメフト部。バスケ部じゃねんだから軽いって」
「ちょっと巧い奴が1人いる位で俺らが負けるわけねぇじゃん」
「だいたい俺ら基本、スロースターターじゃん?勝負は後半っしょ?」
「んっもう、桜田君は心配性なんだ・か・ら」
ギャハハハハと下卑た笑いで盛り上がる桜田チームを見て蛭魔はニヤリと笑う。
「本当に強い奴ってのはどんな弱い相手だろうと絶対に勝つ為に全力で挑むもんだ。だが、あの糞天パー達は自分たちが有利だと油断しきってやがる。おかげでこっちの勝率はうなぎ登りだ。てめえら、しっかり作戦覚えやがれ!」
「おぉ!」
桜田チームとは対照的に蛭魔チームは気合いがみなぎっている。
蛭魔の指示通りに動くことが出来れば勝てる―――
そんな不思議な信頼が勝ち上がるうちにチーム内に芽生えていた。
蛭魔の細かい指示にも真剣に耳を傾けるチームメイトの姿はデビルバッツメンバーと重なるものがある。
蛭魔が作戦を告げ終わった時、後半開始の合図が鳴った。
続く
まだ当分続く余震には気をつけましょうね!
油断は禁物です!!

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