反撃ともいえる戦い
アメリカ戦前夜
蛭魔君が突然私の部屋を訪ねてきた
驚きはしたけれど、明日のミーティングなのかもと思い中へ招き入れた
するとベッドに腰掛けた蛭魔君は、横に腰かけた私にさえ微かにしか聞こえないほどの声で話し始めた
「1941年6月28日。ソ連兵アレクサングル・ゴリコフが妻にあてた最後の手紙。」
「…え?」
「愛するトネチカ。君の元へ届くか分からないが、最後の手紙になる事だけは確かだろう。戦いはますます激しくなっている。」
「ちょ…蛭魔君?!」
嫌な思いがどんどん込み上げる
だめだ
彼の言っている事が怖い
聞きたくない
小さな声なのに私の耳にすべて入ってくる
聞きたくないと手で耳を塞いでもだめ
蛭魔君はただ淡々と話し続ける
「我々の戦車もやられてしまった。ファシストに完全に包囲されている。そこら中に死体が転がり、まるで大きなトカゲが無数に横たわっているようだ。ここは暑く、のどが渇く。」
「いやっ!聞きたくないわ!!」
「僕は今、君の写真を膝の上に乗せて、その澄んだ瞳を見つめている。」
「お願いっ…もう……何も言わないで…っ」
「……泣かないでおくれ、君は僕の墓に来る事はないだろう。いや、墓すらないかもしれない。」
私の頬を伝う涙を、蛭魔君はその細い指ですくうように拭って長い人間離れした舌でなめとる
何を言いたいのかわかっている
分かりたくないけれどわかってしまう
蛭魔君は覚悟している
私にもその覚悟をしろという
そんな残酷な事態を予想して準備しておけという
このあまりにもむごい事態を…
「私には無理よ…」
「なら帰れ。今すぐにでも」
「それも無理…」
「二つに一つだ。どっちかに腹ぁ括れ」
彼の瞳を除いても、一部の隙もなくって
私のみじめな姿がはっきりと映っている
「…私は…どうすればいいの」
「自分で決めた道を、流れに逆らわずに進めばいい」
なんて優しいのだろうか
私が迷えば、逃げる道を用意してくれる
他の人がいうほど彼は非道ではないのだ
彼は未来を読めすぎるが故に厳しいのだ
彼のためにこの身を捧げる事の出来る人は何人いるのだろうか
私もその中の一人になれるのだろうか
彼の満足のいくサポートの出来る女(ヒト)に
「流れに逆らわずに進めばいいなんて貴方らしくないわね」
「うるせぇ」
琥珀色の瞳が揺れる
彼は待っていたのだろうか
彼の傍にいれる女を
「私は貴方の墓に入るつもりもないし、貴方の墓を作る気もないわ」
「ひでぇ女」
「蛭魔君が言ったくせに」
彼の頬に伝うのは何?
手の彼の頬に寄せ、額を合わせる
二人だけの時間はゆっくり過ぎて
あまりにも感傷に浸ってしまう
「私のところでしか泣かないでね」
「嫉妬深い女だな」
「知らなかったの?」
「いや…知ってる」
「死なないで…」
手紙の人はその手紙の返事をもらうことなく死に走った
私は彼の手紙を受け取り、返事もしたわ
それでも不安がぬぐえないから、約束して
「俺らは死なねえよ」
大事なあなたと、あなたの仲間たち
我々の戦車もやられてしまっても
ファシストに完全に包囲されていても
まるで大きなトカゲが無数に横たわっているようにそこら中に死体が転がっていても
貴方達は立ちあがるのよ
「私が勝利の女神になってあげる」
貴方を真似してハッタリかましてやるわ
それであなたがかえってくるならば
「Now it is a counteroffensive…」
END
いやややややややや~!
らぶらぶです!
いや~~んv
もうもう、こう云うの、私には無理ナンデスヨネ~・・・・ホント。
蛭魔泣かそうとしたら こう云うお話になったそうですv
泣く蛭魔!
考えれない~~~★
風龍凪様
素敵な作品を有難うございましたv
これからもよろしくですvv

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