だれにも言えねえ
ダダダダダダダ――――!!
「てめえら、いつまでもチンタラくっちゃべってねえでとっとと帰りヤガレ!!」
部活が終わってもたむろしてなかなか帰らない奴等を銃で部室から追い出した。
銃声にも動じる事なく、マイペースでコーヒーを啜っていた糞ジジイは飲み終わると「ごちそーさん」と糞マネに言い、振り向き様、「頑張れよ」と含み笑いしながら俺の肩を叩いて帰って行った。
なんなんだ?!
その気味の悪い笑いは!
てめえ、絶対、年齢詐称してやがんだろ?!
俺の悪態は閉められたドアに虚しく跳ねた。
一時間ばかり糞マネと二人きりで資料整理をした頃、無糖ガムが切れた事に気付いた。
コンビニ行って来ると言う俺に「うん。気を付けてね」と糞マネが言ったのが30分程前。
コンビニから帰って来た俺が見たモノは机に凭れて安らかな顔を惜しげもなくさらして眠りこける糞マネ。
ココは部室デスヨ?
男と二人きりの密室デスヨ?
普段、悪魔とか散々言ってる奴デスヨ?
良いんデスカ?
まったくなんなんだ この生き物は?
天敵の天使のクセに悪魔を惑わすんじゃねぇ!
惑わすのは悪魔だろうが!
糞!!
苛立ちをまぎらわす為に俺はコンビニの袋に手を突っ込む。
取り出したのはコンビニがやたらアピールしていた新作スイーツのカップ入りのケーキ。
糞甘い糞マネが泣いて喜びそうな胸糞悪い代物だ。
連日の残業のせいか、今日の糞マネはやけに疲れて見えた。
どこを切っても糖質で出来てるとしか思えない砂糖ジャンキーの糞マネは糖分切れに違いねぇ。
休んでる暇なんざねえ!
さっさと胸糞悪い糖分でも摂取して復活しやがれ!
こんな300円もしねえモンで復活して馬車馬の如く働くってんなら安上がりじゃねえか。
そう思ってこの俺がせっかく買って来てやったってのに、勝手に仕事サボって昼寝たぁ良い度胸だなぁ糞マネ。
目が釘付けになりそうな糞マネの白いうなじへ良く冷えたソイツをくっつけてやった。
効果てきめん、飛び起きた糞マネは「酷い」だの「思いやりがない」だの暫くキャンキャン吠えていたが、うなじに当てられた糞甘いソレに気付くととたんに大人しくなった。
糞砂糖ジャンキー黙らすにはこれに限るなんて内心馬鹿にしてる俺に「ありがとう」なんてほんのり頬染めて言う糞マネ。
そんなモンがそんなに嬉しいか?
てめえは救いようのねえ正真正銘の糞砂糖ジャンキーだな!
糖分を摂取した糞マネはやけに上機嫌でその後、俺のどんな悪態も甘んじて受け入れた。
糖分で脳ミソ溶けてんじゃねぇか?!
そのクセ、帰り道はだんまり。
いつもはこちらの返事なんざお構い無しで話しかけて来るってのに、一体、なんなんだ?
わけがわかんねぇ。
こんな変な女、二人と居ねえ。
今までこんな女見た事ねえ。
膨大な記憶を検索してみるが、該当する奴はいやしねえ。
こいつは特別製って事か?
そんな事をつらつら考えていると、突然、左手を掴まれた。
自分に起こった事を理解するのに時間がかかった。
「なんの真似だ糞マネ」
「嫌なら振りほどいて」
「別に」
「じゃあ気にしないで」
そう言った切り、再びお互い無言で歩く。
俺より少し冷たい糞マネの手に俺の手の熱が伝わって熱くなって来る。
手を繋いだ瞬間、指先がビリビリ痺れて、自分の中のあらゆる感情に気付いてしまった。
ふいに脳裏に浮かんだのは去年の夏。
あの時から誰もがアリエナイと思っていたことが次々現実になった。
これもその一つか?
なんてこった!
糞!
こうなったら腹をくくって全部受け止めようじゃねぇか。
明日は嵐か?
どんな事が起きたって不思議じゃねえ。
手を繋いだまま 無言で歩くが、俺の頭ん中には糞恥ずかしい言葉が響く。
あ―――ウルセエ!
自分の脳ミソに罵声を浴びせると返って来たのは別れ際のムサシの含み笑いと「頑張れよ」の言葉。
糞!
悪魔のクセになんて様だ!
こんな事、だれにも言えねえ!
END
後でちゃんと整理します。
とりあえずUP!
すみません。
あわあわ~~~
とりあえず、改行の整理だけしてみました。
言い訳とかモロモロはまた明日!!

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