Liar!
1ヶ月後―――
アミノ国に隣接する街までまもりのお腰入れの行列は3日がかりで到着した。
「明日にはアミノ国だね…。」
鈴音がポツリと呟いた。
明日に備えて今日は早めに宿に入り、今は夕食までの一時を鈴音と二人、部屋で寛いでいた。
「鈴音ちゃん、お願いが有るんだけど…頼めるかしら?」
「なに?」
「実はこの街にはとっても人気なスイートのお店があって、そこのシュークリームってのが、外の皮はパリッとしてるけどクリームと一緒に食べるとしっとりサクッって絶妙な味と食感ならしいの」
まもりのシュークリーム好きは国中に知れ渡っており、有名店は新作のシュークリームを作るたびに競って献上する程だ。
「わかった!そのお店に行ってシュークリームを買ってくれば良いんだね!」
飛び出そうとする鈴音をまもりは慌てて止めた。
「違うの!違うのよ!」
「違う?」
「えぇ、違うの。ほら、結婚したら欲しい物を買ったりとか、色々今までのように自由気ままに出歩いたり出来ないかもしれないじゃない?」
「うん。」
「だから秘密でこっそり出かけて最後の自由を満喫したいの」
「えぇーっ?!」
「しぃー!そんなたいしたことじゃないのよ?ちょこっと街をぶらついて、有名なシュークリームを買って来るだけなの。ね?お願い!」
まもりに真剣に頼まれると鈴音は弱い。
「本当にシュークリーム買ったらすぐ帰って来てくれる?」
「…えぇ。約束するわ」
「…じゃあ、しょうがないよね。私はどうすれば良いの?」
腹をくくった鈴音の行動は早い。
「私が急病で寝込んだことにして欲しいの」
「えっ、でも、そんな嘘すぐバレちゃうよ?」
「大丈夫」
まもりがニッコリ笑った時ドアをノックする音が聞こえた。
コンコン
ノックの音にイタズラが見つかった子猫のように飛び上がった鈴音を微笑ましく思いながらまもりはドアを開けた。
そこに居たのはこのお輿入れ行列の担当医の雪光だった。
雪光は部屋に入りドアを閉めると持っていた大きな袋をまもりに差しだした。
「頼まれていた品をお持ちしました。…本当に行かれるんですか?」
「えぇ。」
受け取った袋の中の品物をまもりは確かめるように取り出した。
出て来たのはごく一般的な町娘の服だった。
まもりは続き部屋になっている寝室に入り、次に出て来た時には町娘の衣装に着替えていた。
ボロは纏えど心は錦と言うか。
服を町娘の物にしてもそこはかとなく漂う気品は隠せていない。
鈴音は不安になってしまった。
「まも姐、やっぱりやめない?シュークリームなら私がちゃんと全種類買って来るから」
不安いっぱいの顔をした鈴音に静かに首を振り、まもりは微笑みかけた。
「大丈夫よ鈴音ちゃん。私、ひとりで出かけるわけじゃないから」
「えっ?」
「近衛兵隊長のムサシ君が同行してくれるのよ。安心でしょ?」
「えっ!ムサしゃんが?!でもムサしゃんはお父さんの病気の容態が思わしくないとかで先週から休日を取って故郷に帰ってるんじゃあ…。」
「ムサシ君が故郷に帰ったのは本当よ。ムサシ君の故郷はこの街と近いの。お父さまの病状も落ち着いてるし、私の買い物に護衛がてら付き合ってくれるって言ってくれたのよ」
ニコリと笑うまもりに鈴音の髪の毛がひとふさピコンと立った。
「えっ…やだ、そうなの?知らなかった…私ったら。それならそうと言ってくれてたら!も~!うん。わかった!まも姐、ムサしゃんと思う存分楽しんで来てね!!こっちは大丈夫だから!ドーンとこの鈴音に任せて!」
「う、うん。よろしくね?」
何か勘違いした鈴音は勝手な想像を巡らし一人悦に入っている。
そんな鈴音に罪悪感を感じながらもまもりはこっそり宿を抜け出し、ムサシとの待ち合わせ場所へと急いだ。
続く
さて、どうしましょうね?
凄く短いお話だったはずなのに 何?この長くなりそうな感じ・・・・。
参りますね★
・・・・って、それ以前に、この話を覚えてる人がいるのかがはなはだ疑問だ★
私もタイトル忘れてたし・・・・。

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