青春REAL 番外編~燃えろ!闘魂~
観客達が体育館を去っても桜田はまだ呆然と床に座り込んでいた。
「おい、桜田」
宮益が呼びかけても反応は返らない。
「もうすぐ部活が始まる時間だぞ」
そう言ってポンと肩を叩くと桜田はようやくノロノロと立ち上がった。
「まあ、あんま気にすんなよ」
「そうそう。相手が悪かったんだよ」
「なんたって泥門の悪魔だからな~」
「そうだよ。あの悪魔に楯突いて無罪放免なんて奇跡だぜ?」
「うんうん。関東大会の応援くらいで済んで良かったよな」
試合中、桜田と険悪になっていた 福田も、桜田の余りの落ち込みっぷりに毒気を抜かれ、宮益と共に慰めにかかった。
「しかし、蛭魔があんなバスケできるなんてなぁ…」
「ずりぃよなぁ」
「アイシールドに助っ人頼むより、蛭魔に頼んだ方が確実だよな」
「だよなぁ。コートの端からスリーポイント決めれるなんてねえよなぁ」
「無茶苦茶フェイントもうめぇし」
「ファウル奪うテクも半端ねぇし」
「…でも、蛭魔に助っ人は頼めねぇよなぁ…」
「あぁ、いくら凄くてもなぁ…」
「蛭魔だからなぁ…」
「うん。蛭魔だものなぁ…」
「蛭魔なんだよなぁ…」
「蛭魔なんだよ…」
そう言って福田と宮益 は二人同時に盛大なため息をついた。
すると、それまで黙っていた桜田が突然雄叫びをあげた。
「うっが―――!!何が関東大会だぁ!アメフト部には負けねぇ!!1年鍛え直して新人戦優勝だぁ―――!!!」
桜田の何かに火が着いたらしい。
桜田が燃えに燃えている。
タイミング良くか悪くか、ちょうどやって来た1年の部員達に「ランニング行くぞ―!!」と叫ぶと、桜田は訳がわからない1年を引き連れて猛ダッシュでランニングへと飛び出して行ってしまった。
後に残った福田と宮益 は呆気にとられたが、暫くすると笑いが込み上げ、二人して大笑いした。
大笑いした後は何か吹っ切れた気がした。
「桜田、火が着いたな」
「熱いぜ。燃えてるぜ」
「ヤバいよなぁ」
「あぁ。ヤバい。けど、しょうがねぇか」
「あぁ。しょうがねぇ。しょうがねぇから付き合おうぜ」
「だな」
そう言って二人も桜田達を追って体育館を駆け出した。
その日、黒美嵯川の土手では「打倒!アメフト部!」と叫びながら延々走るバスケ部が見れたと言う。
終わり
全く誰も どーでも良いお話でした★
単に「蛭魔に助っ人頼むのが良いけど、頼むの無理無理!」って会話が書きたかったダケです★

PR