青春REAL 2
泥門の球技大会は数種類の球技にクラスごとにいくつかのチームを作り参加する。
クラス、異学年の交流と、スポーツ振興を目的に毎年開催される。
クラスから優勝チームが出た場合、そのクラスには1日学食食べ放題チケットが配布されることも有り、参加チームも応援も毎年、なかなかの盛り上がりを見せる泥門の名物イベントの1つだ。
「なぁ、桜田」
「なんだ?」
「お前、この球技大会で蛭魔をやっつけるって宣言したらしいけど大丈夫なのか?闇討ちとかされたらどうすんだよ?」
クラスメイトで同じバスケ部に所属する宮益が心配気に声をかけて来た。
「はっ!奴のやりそうな卑怯な手を封じ込める為にわざわざあんな人目のある所で宣戦布告したんだよ」
「卑怯な手を封じ込める?」
「あぁ、あんだけの証人がいるんだ。もし俺が誰かに襲われたり、不自然な事故で試合に出れなくなってみろ、絶対みんな蛭魔の仕業だって思うだろ?そうなったらさすがに学校もアノ悪魔を放置して置けないだろ?」
「あぁ!」
「そうなったらアメフト部は廃部、姉崎さんは悪魔から解放されるって寸法だ。どうだ!俺の作戦は!」
「すげぇなぁ!…あ、でも、俺らが試合に負けたらどうすんだ?」
「負けねぇよ」
「その自信はどっから来るんだ?」
「蛭魔のクラスを考えてみろよ」
「蛭魔のクラス?」
「あぁ、泥門は少子化による生徒数減少に歯止めをかけるために進学率アップを目指してんだろ?」
「そうなの?」
「そうなんだよ!だから学力アップの為に蛭魔のクラスは学力テスト上位が集められてんだよ」
「ああ見えて蛭魔頭良いもんなぁ」
「頭は良いが奴のクラスは帰宅部か名前だけの幽霊部員、部に入ってたとしても文学部って言う運動はからっきしな奴らが集まってんだよ。」
「へぇー」
「片や俺らのクラスはほとんどがバリバリ運動部所属な上にレギュラー張ってる奴らばっかだし、バスケ部だって俺とお前と福田がいんだろ?」
「うん」
「悪魔がどんだけ頑張ろうが俺達が勝って当たり前ってわけだよ」
「すげぇ!マジすげぇ!お前、頭良いじゃん!」
「まあな!負ける試合は最初からしねぇっての!ひゃはははは!」
バスケ部の部室に桜田の高笑いが響いた。
「ちょっと蛭魔君!」
「あん?」
部室へと向かう人気のない通路で蛭魔は仁王立ちしたまもりに呼び止められた。
「蛭魔君、今度の球技大会で何か企んでるでしょう?!」
「はぁ?何を根拠にんっな因縁つけて来やがった?」
「色んな噂が出てるのよ!今度の球技大会で悪魔が反乱分子を公開処刑するだの、球技大会は全試合蛭魔君が胴元の賭け試合で大金がくだの、黒い噂が飛びかってるのよ!」
「そいつぁ 初耳だなぁ」
馬鹿にしたような態度にまもりは蛭魔が何か知っていると確信する。
「問題起こしたら下手すると秋大会出場辞退になっちゃうんだから!」
「へーへー」
「冗談じゃないのよ!?出場辞退なんかになったらクリスマスボウルに行けなくなっちゃうんだからね!」
「俺がそんなヘマすると思うか?」
「ヘマするとかしないとかの問題じゃありません!」
「へーへー」
「へーへーじゃありません!」
「ったく、ウルセーなぁ。別に何も企んでねぇし、賭けの胴元は俺じゃなくて糞飲んだくれだ」
「えぇ!?どぶろく先生が胴元なの!?止めさせなきゃ!」
「おい、糞マネ!」
慌てどぶろくを探しに行こうとしたまもりを蛭魔は呼び止めた。
「えっ?何?」
「全てはてめえ次第だ。せいぜい糞姫演じとけよ!そうすりゃ効果は倍増だ」
それだけ言うと蛭魔は何事もなかったように部室へと歩いて行ってしまった。
「どう言う意味?」
1人取り残されたまもりはしばらくその場に立ち尽くし、首をひねるばかりだった。
続く
こんな短くてスミマセン!
何かとバタバタすることが多くて・・・。
ちゃんと最初の予定通りのお話になってくれるかしら?とチョット不安だったりします★
次回はようやく本題突入・・・・・かな~?

PR