初恋は実らない・・・
―――もうそろそろ部活終わる時間かな?
美術室の時計に目を向けた。
自分以外の美術部員は部活を終え既に帰り美術室には僕しかいない。
ここ数ヶ月、誰にも内緒で描いていたキャンバスを取り出す。
そこには優しく微笑みかけてくれる姉崎さんがいる。
僕が彼女に初めて会ったのは泥門高校の入試の時だった。
僕が落とした受験票を姉崎さんが拾って渡してくれた。
その時の姉崎さんの優しい笑顔を見た瞬間、僕は恋に落ちた。
恋心は僕を突っ走らせ、両親の反対を押し切り本命校を蹴って泥門に入学した。
ただただ姉崎さんにもう一度会いたい―――その一心だけだった。
残念ながらクラスは遠く離れてしまったけど、姉崎さんが風紀委員に立候補すると言う噂を聞いて僕も速攻で立候補した。
同じ委員会に所属すれば接点が出来て親しくなれるかもしれないと言う下心からだったが、読みは見事に当たり、僕は憧れの姉崎さんに名前を呼んで貰えるまでになった。
それだけではない、気軽に彼女から声をかけてくれる、微笑みかけてくれる。
最初はそれだけで満足だった。
だけど、姉崎さんと距離が近くなればなるほどそれだけでは満足できなくなってきて、僕は募る想いをキャンバスに込めた。
僕だけに微笑んでくれている姉崎さんをひたすら描き続けた。
そして、自分でも会心の出来だと思えるこの絵を描きあげた時、この絵を姉崎さんに渡して告白する決意をした。
今日こそは――――
悪魔が居るアメフト部の部室に乗り込む勇気はさすがに無い。
どこか近くで部室から姉崎さんが出てくるのを待とう。
そう思った僕はアメフト部の部室へと向かう事を決めて荷物をまとめた。
下駄箱へと続く廊下を歩いている時、ふと窓から見えるグラウンドに目を向けた。
そこには姉崎さんと悪魔が立っていた。
他の部員は見当たらない。
グラウンドに居るのは二人だけ。
何か手元の資料を見ている悪魔の横に立った姉崎さんは何かひどく怒っているようだ。
温厚で優しい姉崎さんが怒る姿を初めて見た時はビックリした。
姉崎さんはめったに怒らない。
って言うか、まず怒らない。
怒ることが無い。
誰にでも分け隔てなく優しい。
それが、あの悪魔と対峙した時だけは違う。
目を吊り上げ、周りを憚ることなく大声で怒鳴る。
あの悪魔に楯突くなんて凄い事ができるのは風紀委員の中でも姉崎さんだけだ。
さすがの悪魔も姉崎さんには一目置いているようで報復するような事はないようだ。
きっと彼女の清廉さには悪魔も勝てないんだ。
本当に姉崎さんほど素敵な女子は居ない。
姉崎さんが彼女になってくれたら……。
はっと気付く。
ちょっとの間、自分の考えに浸っていたらしい。
グラウンドに目をやると、二人の言い合いは終わっていて、部室にでも帰るのか、並んで歩き出した所だった。
何か話しかけた姉崎さんに、蛭魔が人の悪い笑顔を浮かべて言葉を返す。
その返事を聞いた姉崎さんの笑顔は今まで僕が見てきたどの笑顔とも違う、目が釘付けになるような鮮やかな笑顔。
衝撃だった。
その笑顔を見た瞬間、自分が見ていた笑顔は、僕にだけ微笑むキャンバスの中の笑顔はすっかり色褪せてしまった。
彼女を見つめる蛭魔の笑顔も今までに見たことの無いもので……。
見てはいけない。
見たくない。
僕は俯いて足早にその場を離れた。
校門を出た所でようやく息をつき、後ろを振り返る。
姉崎さんは多分、アイツが好きなんだ。
アイツもきっと彼女を好きなんだと思う。
ラブラブなんだな……。
初恋は実らないって迷信じゃなかったんだ……。
もう一度小さいため息をついて家路につく。
帰ったら、僕には決して向けられることの無い、あの笑顔を描いて見ようかな…。
そして、できた絵を悪魔にこっそりプレゼントするのも面白いかもしれない。
告白の手前で僕の初恋は 一瞬で蜃気楼みたいに消えてしまった。
だけど、彼女がどうであろうとも、僕が好きなら彼女への僕の想いは続くんだ。
きっとこの想いは僕の役に立つ。
胸の奥できゅんとしてる想いを抱きしめて、僕は顔を上げて大きな一歩を踏み出した。
END
はい?
なんじゃこりゃ?
・・・・ですね★
いや、単に「おじゃる丸」のED聞いた瞬間に浮かんだ話です★
最近の私の鼻歌なのです♪
とってもかわいい曲ですよv
EDのおじゃる丸の動きも可愛いv
特に一番後ろのトロい子が★
(でも、おじゃる丸自体は我儘でぐーたらー男なので好きじゃない)
1日遅れてしまいましたがUPできたので寝ます。
あ~・・・・ショックぅ~~~。

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