posted by 春海 さな
at 09:17:04 │
EDIT
今日も絵日記にしようかと思いましたが、一応、タイトルが決まったので小説UPします♪
本当にタイトル考えるのって難しい~!
なかなか「コレっ!」ってのは浮かびません。
今回のタイトルも 色々考えたんですけどね・・・・。
ふと、リフレインって単語が浮かんで、refrainって綴り調べて、「う~ん今イチ?」と思った直後、今度は「ルフラン」って単語が浮かんで、調べたら単にリフレインのフランス語だった★
そうだったんだ・・・知らなかった。
もうこうなったらrefrain使うしかないっしょ!ってことで 今回のタイトルとなりました。
*今回の小説についてのご注意*
今回もオリキャラが出張ってます。
オリキャラが出張り過ぎてます。
・・・って、言うか、ほとんどオリキャラしか出てません。
しかも、おっちゃん二人がメインな蛭×姉って・・・・どうよ?
軽い感じのお話を目指しました!
楽しんで読んでいただけたら嬉しいにゃ~~v

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青春Refrain
泥門プリンセスホテルの大広間にて、泥門高校 年度卒業生の同窓会が開催されていた。
会場入り口付近で会話する男が二人。
「おっ!鈴木じゃないか!久しぶり!」
「えっ?本田?お前、太ったなぁ~!高校の時はあんな細かったのに 見る影が無いじゃないか!」
「そう言うお前だって顔がかなり上の方まで領土広げてるじゃないか」
「人が気にしてることをズバッと言うなよな。あっ、あれ豊田じゃね?くそ、あいつあんまりかわってねえな」
「あいつ高校時代結構モテてたよな。おっ、気付いた女共がたむろしだしたぞ。くそ~何でいくつになってもモテてんだよ」
「はっ、四十のおばちゃんにモテても嬉しかねえよ」
「まあな…って、俺らも四十だよ」
「歳とるハズだよなぁ」
「頭も薄くなれば、腹も出る。自然の摂理だ」
「女子は老けてる上に化粧してるから誰が誰かわからねえな…」
「おい、あれ。あそこのテーブルんとこに立ってる赤い服の女」
「あん?あぁ、あの派手なの?あれ誰だ?」
「アレがアノ 松田さんだってよ」
「えっ?!松田さん!?嘘だろう…見る影どころか見るも無惨じゃないか…」
「時の流れって残酷だよな…」
「俺、高校時代 彼女のこと好きだったのに…あんなになっちまってるなんて…ショックだぁ~!俺の美しい青春の思い出の1ページがぁ~…」
「気持ちはわかるぞ」
「あっ、そう言えば彼女は来てるのかな?」
「誰?」
「ほら、あの、我らがマドンナだった姉崎さん!」
「あぁ、姉崎さんかぁ。懐かしいなぁ。凄く綺麗な子だったよなぁ」
「憧れてる奴多かったよな」
「高嶺の花だったよなぁ。あの豊田もコクって振られたしな」
「彼女、今、どうなってんだろな」
「松田さんみたくなってたら俺は泣くぞ!泣いて会場飛び出すぞ!」
「でも、彼女、クォーターだったろ?外人って歳とると結構…」
「うわ!やめてくれよ。これ以上、俺の美しい青春の思い出を壊さないでくれ~!」
「彼女、来てるのかな?」
広い会場をざっと見渡すがそれらしい姿は見つけられない。
「どんな姿になってても彼女なら目立ちそうだよな」
「おっ、あいつ雪光じゃね?あいつもでこ広いなぁ」
「あいつは高校時代からだろ」
「あいつ、確か部活が一緒だったよなぁ?姉崎さん来てるのか知ってるかな?おーい!雪光!」
「あぁ、鈴木君、えーっと…」
「本田だよ」
「あぁ!本田君!すっかり貫禄が出てわからなかったよ。久しぶり。元気だった?」
「ものは言い様だな」
「ま、俺のこの姿見ればわかるだろ?元気だけがとりえだ」
「もう四十代だし 見た目だけでは健康は語れないよ。それに肥満はいろんなリスクを伴うから気をつけた方が良いよ?」
「あー、そう言えばお前、医者になったんだったな。まあ、今、耳の痛い話しは置いといてだ。お前、姉崎さん来るかどうか知ってるか?」
「姉崎さん?来るはずだけど、まだ来てないみたいだね」
「なあ、お前、今、彼女どんなになってるか知ってるか?」
「姉崎さん?知ってるよ。」
「俺ら高校卒業以来会ってないんだよ。彼女、今、どんな感じ?」
「高校卒業以来会ってないなら…そうだなぁ。あらゆる意味で驚くと思うよ?」
「驚く?それは良い意味でか?悪い意味でか?」
「多分、両方」
「はぁ?両方?」
「おい、雪光」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこにはムサシが立っていた。
「あ、ムサシ君。先日はどうもお世話になりました。」
「その後、どうだ?」
「リフォームしたおかげで暮らしやすくなったって、母が大喜びしてて毎日電話かけてくるよ」
「そりゃあ良かった」
「栗田君や姉崎さんは一緒じゃないの?」
「あぁ、あの二人ならまだ受け付けしてる。」
「二人に会うの久しぶりだから楽しみだなぁ」
「と、仕事片付けて飛んで来たから腹減ってるんだが…」
「ビュッフェだからあそこで…あぁ、僕も行くよ。栗田君が来たら無くなっちゃうかもしれないものね」
「ああ」
「鈴木君、本田君、それじゃまた!」
雪光とムサシは連れだってフードコーナーへと去って行った。
「武蔵って高校の時と全くかわってないな…」
「高校の時がすでにオヤジだったからなぁ あのまま老けてたら今頃ジジイだ。あっ、あれ栗田じゃね?」
「あ、栗田だ。坊主になってる」
「そう言えばあいつの実家、寺だったな」
巨体の栗田が会場に入った後、その影に隠れていたまもりに気付いた同級生達から感嘆の声が上がった。
「あ…姉崎さんだ…」
「あ…相変わらず美しい…」
「周りの女共と同じ歳とは思えない…」
「三十代前半…いや、下手すりゃ二十代後半って言っても通るんじゃねぇ?」
「女優かよ」
「いや、女神だ。やっぱり彼女は女神だったんだ!」
「…でも、その女神も人妻か…」
「あ、本当だ…くそ~!左手に光る指輪がうらめしいじゃねえか。どんな奴なんだ女神と結婚した野郎は!羨まし過ぎる!」
「あぁ女神様…。人生の切なさを痛感するなぁ…」
「女神と言えば、泥門には悪魔もいたよな…」
「悪魔!極悪非道残虐無比の泥門の魔王か…」
「あぁ、あいつ。あいつも来るのかな?」
「来ないんじゃないか?こう言うのに参加するタイプとは思えないし」
「だな、せっかくの同窓会が台無しになっちまうよな」
「あいつ、今、どうなってんだろな?」
「大学卒業後にNFL入ったのには驚いたよなぁ」
「あぁ…でも、故障したとかで引退早かったよな」
「今頃、裏社会牛耳ってそうだよな」
「うわ!簡単に想像できちまう!」
「あいつって、高校の時からばりばりブリーチやってたじゃん?今頃、ザビエルになってたりしてな」
「あいつ、いっつもばっちり金髪だったもんなぁ。あんだけ髪傷めてたんだからハゲてても不思議じゃないな」
「俺なんて高校の時からブリーチもせずに大切にして来てこれだからな。高校時代の怨みも加算してハゲにでもなっててくれないとやってられんぜ」
「スポーツ選手って辞めたら急激に太るじゃん?デブってるのも有りだよな」
「あん?誰がハゲてるって?誰がデブってるって?」
突然、背後からかけられた声に背筋が氷つく。
その声は恐怖として二人の記憶の奥底に刻まれているものと一致する。
恐怖に固まった顔でぎこちなく背後を振り返ると、そこに立っていたのは高校時代と寸分違わぬ悪魔。
「!!」
二人とも恐怖と驚愕で固まってしまった。
そんな二人に興味を無くした悪魔はつまらなそうにさっさとその場を後にした。
去って行く悪魔の後ろ姿を見送りながら「…なんで高校時代のままなんだ?!全く歳取って無いじゃないか…」
「や…やっぱり悪魔だったんだ…」と呟いた。
悪魔に気が付くとその場にいた誰もが驚き道を開く。
その様はまるで『十戒』のモーゼが海を割ったが如し。
そのおかげで目的の人物を易々と発見できた。
「おい」
「えっ?あら!どうしてここに居るの?何かあったの!?」
「携帯」
「えっ?」
「忘れてっただろ」
「あ、それでわざわざ?」
「オヤジから連絡あったんだよ」
「えっ!なんて?!」
「予定変更になったから昼頃には帰るだと」
「そうなの!?」
まもりは受け取った携帯で慌て電話をかけた。
「よう、久しぶり。しばらく会わないうちにデカくなったな」
「はっ!糞ジジイ。そりゃこの歳で縮まねぇだろ」
「どんどん似てくるね!そっくりだよ」
「クローンだよね」
「糞デブ、糞ハゲ、ウルセーぞ!誰が好き好んで似るかよ!」
「えぇ?!」
談笑する四人の声を電話中のまもりの声が遮った。
「あ、切れちゃった」
「どうかしたのか?」
携帯をしまったまもりにムサシが声をかけた。
「それがね、今、空港からヘリでこっちに向かってるって…」
「空港?あいつどこに行ってたんだ?」
「一昨日から明日までの予定で中国。その後はインドへ行くはずだったんだけど…変更になったのかしら?」
「相変わらず世界中飛び回ってるんだな」
「ケッ、暗躍してるの間違いだろ」
「誰が暗躍してるって?」
悪魔の登場からこっち、身動ぎもせず、この一団の言動を見守っていた元同級生達の間にざわめきが起きる。
突如現れた一人の男。
ゆるく後ろに流された長めの黒髪。
引き締まった身体にまとったスーツは一目で高級だと判るセンスの良さ。
ワイシャツの第一ボタンははずされ、ネクタイもゆるめられているが、だらしなさは無く、むしろ仕事のできる男の色気が漂っている程だ。
異彩を放つ存在に誰もが目を奪われる。
「お帰りなさい」
「おう」
「ご無沙汰してます」
「おう、糞ハゲ。相変わらず光ってんな」
「お前も相変わらず飛び回ってんだな」
「まあな」
「久しぶりだねぇ~蛭魔ぁ!」
栗田が呼んだ男の名前に誰もが衝撃を受ける。
目の前のこのため息の出るような良い男が高校時代、悪魔と学校中から恐れられ、いみ嫌われたあの蛭魔の未来の姿?!
会場中が驚愕の嵐に包まれる。
鈴木と本田は雪光に近づくと小声で尋ねた。
「なぁ雪光。じゃあ、あの蛭魔そっくりの奴は蛭魔じゃないのか?」
「あはははは 蛭魔君のわけ無いじゃないか。彼は蛭魔君の息子だよ」
「蛭魔の息子!」
瞬時に会場中がどよめく。
ここまで似ているのだからなんだかの血の繋がりが有るのは疑いない事だが、アノ蛭魔と結婚、家族の文字がどうしてもイコールで繋がらない。
「蛭魔君 大学卒業と同時に結婚したんだよ」
「へぇ…早かったんだな」
「うん。結婚するって聞いた時は僕も驚いたけど、高校の時から付き合ってたんだから交際期間だけで6年近くだものね。早いって事はないなって思ったよ」
「高校時代から!?6年!?」
「もしかして蛭魔の嫁さんって泥門なのか!?」
「は?なに言ってるんだい」
「違うのか?」
「蛭魔君と高校時代から付き合ってたのは姉崎さんじゃないか」
暫しの沈黙の後、会場中がパニックに陥る。
「泥門の天使と悪魔が結婚…」
「高校時代から付き合ってた!?」
まさに阿鼻叫喚。
その後の同窓会は混乱の中、幕を閉じた。
明かりが灯り始めた街中を駅に向かって鈴木と本田はとぼとぼと歩いていた。
「せめて子供が姉崎さん似だったらまだ救いがあったのに…」
「何処をどう見ても生粋の悪魔だったよな…」
「天使の血が入っているとは思えない…」
「プラス×マイナスはマイナスになるって証明だな」
「…でも、姉崎さん綺麗だったな」
「…幸せそうだったよな」
「蛭魔もすっかり落ち着いてたな」
「悔しいけど格が違うって感じだったよな…」
「…。」
「…。」
「…俺達も頑張らなきゃな」
「おう!負けてられないよな!」
「景気付けに飲みに行くか」
「俺らの輝かしい未来への第一歩を祝おう!」
二人はさっきまでとは打って代わり、軽い足取りで活動を始めたばかりの夜の街へと消えて行った。
終わり
蛭姉友達の風龍凪さんが参加される「キッパラ」のサイトを覗いた時に浮かんだネタ★
結婚して子供までできてるんだから このお話は蛭×姉なのです!!
例え どんなに おっちゃん二人が出張っていようとも!!!
軽い感じに笑っていただければ幸いですv
未来の蛭魔さん。
金髪にするか黒髪にするか迷いましたが 今回は黒髪にしました♪
金髪だったら スグにバレそうだから★
posted by 春海 さな
at 08:51:28 │
EDIT
昨日は地区の運動会で疲れました・・・。
玉入れ 4回もやったのに 1個しか玉入れれず。
蛭魔だったら 山もりになる程入れれるんだろうな・・・。
はっ! 肩がダルいのは玉入れのせいね!?
朝起きてなんでだろう??と思ってたんだ・・・。
今回の小説はスタレビの曲を聞いて思いついた話でして、素敵な歌詞なので それをなんとか文章に取り込みたい!と四苦八苦して・・・・あはははは~。
歌詞は素敵なんだけど蛭魔さんのイメージじゃないんですよね★
なんだかぐるぐる回ってるだけの小説になっちゃいました・・・ガックリ。
まもりサイドの話(「決戦は金曜日」)へのリベンジのハズが玉砕でした★
恥ずかちぃ~~。

翼にのせて
日付変更線を越えたとアナウンスが告げた。
後、何時間後には結末が見える。
聞くともなしにつけていたヘッドフォンを外し窓の外を眺める。
小さな島国を飛び出して三年。
一度も帰ることはなかった。
何処にいようとあの国の情報ならどんな些細な事でも容易く入手できたがこの三年間、いっさいの繋がりを絶っていた。
別に里心がつくとか、そう言う理由からじゃない。
単にそこが自分のあるべき場所でなくなったから今の生活から切り捨てただけだ。
俺が居なくなって喜ぶ奴はごまんといても、困る奴なんざ一人も居ねえ。
だからすっぱり断ち切れた…はずだった。
アメリカに渡ってからの道のりは決して平坦なもんじゃなかった。
差別に偏見、元々、体格も運動能力も並みの俺がそんな楽に行かない事は覚悟の上だったが、肉体的にも精神的にもその過酷さは生半可なモンじゃなかった。
毎日ドロドロに疲れてベッドに倒れこみ、朝まで死んだように寝る。
毎日が延々と続くデス・マーチのような三年だった。
心が折れないように、ただただ何も考えずがむしゃらに走り続けてようやく掴んだチャンス。
決してゴールではない。
これからは今まで以上に気が抜けない。
鵜の目鷹の目で隙を狙ってる奴が後から後から湧いてくる。
油断したが最後、寝首かかれてハイ、それまでよだ。
誰もが人を蹴落とし這い上がろうとしている世界。
ビビってる暇なんざ無い。
世界中を騙してでも突き進んで行くだけだ。
それだけのはずだった。
なのに…。
入団手続きを済ませた帰りに見た夕日があまりに綺麗で、思わず街の観光スポットになっているビルの展望室に登って地平線に沈む夕日を眺めた。
こんな静かな気持ちになったのは久しぶりで、無心で見つめていた時、訳もわからずアイツの名前を呟いていた。
そんな自分にひどく驚いた。
無意識に呟いた意味。
今、心がたどり着いたのを細胞レベルで理解した。
砂漠が水を吸い込むように瞬時に身体中に浸透して行く。
気付けば足元では街の明かりが瞬いていた。
いてもたってもいられず、ホテルに飛んで帰ると電話わきのメモ帳を破り文字を書きなぐった。
窓から視線を戻し機内サービスのミネラルウォーターを頼む。
冷たい水が喉を潤す。
わかっている。
身勝手なことは。
今のアイツには好きな奴がいるかもしれない。
付き合ってる奴がいるかもしれない。
それどころかすでに結婚していてもおかしくない年だ。
だからあの手紙は今更で、迷惑なだけの代物かもしれない。
らしくない 躊躇いと期待を乗せて銀色の翼は運命の時へ向かう。
祈るような気分でゲートをくぐる。
悪魔は神には祈らねえ。
では何に祈る?
そこに在るのは生か死か…。
ゲートから吐き出されるような人波の中、思わず立ち止まる。
視線の先には俺を見つめる懐かしい瞳。
声にならない。
今なら素直に愛の告白のひとつでもできる気がしていたのに、アイツの顔を見た途端、そんなものはぶっ飛んだ。
立ち尽くす俺の元にアイツも言葉を発することなくゆっくり近づいてくる。
二人の距離は残り一歩。
「契約は?」
まもりの静かな問いかけに蛭魔はまもりを壊れるほど強く抱きしめた。
Fin
スミマセン。
最後、逃げちゃった気がする・・・。
スターダストレビューの「夢のつばさ」を聞いて浮かんだお話です。
高校も大学も付き合うことなく別々の道を歩き始めた二人はどうなるかな~と思ってた所に聞いたので、「これだ!」と勢いで書き始めたのですが・・・・ぐるぐるし過ぎぃ~~。
歌詞はシリアスなのに 結構ポップな曲で あまり蛭魔には似合わないんだけど書いちゃいました★
セリフのないお話って文章力がカギだと痛感いたしました。
精進しますっ!!!
posted by 春海 さな
at 00:54:56 │
EDIT
今回はスタレビの昔の曲を聞いて思いついた小説です。
最初は蛭魔側からのお話になる予定だったんですが、書き始めると何故かまもり側からになってました★
しかもタイトルが スタレビではなくドリカム・・・。
何故かと言いますとですね、書いてるうちにスタレビの曲じゃなくなっちゃったんですよ。
何故??
何故 私の書くまもりは 蛭魔と対決しょうとするの!?
なので 作中に金曜日の夜が出てきたので 安易にドリカムに変更しちゃいました★
・…実はドリカムの曲ってよく知りません。
あんまり聞いたことないの。
でも、この曲は好きで知ってたのです。
カラオケでも歌える曲です。
最初のイメージしてたものとはかけ離れてしまったので しょうがないので蛭魔側のお話も書きます。
そちらは絶対スタレビにするゾー!!

決戦は金曜日
大学卒業から三年。
銀色の翼で海を越えた悪魔から何の前触れもなく一通のAirMailが届いた。
卒業してから音信不通だった悪魔からの手紙。
開けたが最後、不吉なことが起きそうで何度も手にとりながらも開封出来ずにいる。
悪魔とは高校、大学と共に過ごした。
だけど、それは同級生、マネージャーとしてであって 決して甘い関係はなかった。
だから卒業後の進路も今、住んでる場所も、何をしてるかも何も知らされなくてもしょうがないとずっと自分を納得させていた。
三年かけて忘れたはずの銃声が頭の中で響きだす。
独りきりの静かな部屋では銃声が鳴り止まない。
まもりは銃声が聞こえなくなるようテレビをつけた。
チャンネルを次々かえてみるが興味をひかれる番組はない。
まもりは小さなため息をついた。
卒業してからの私はいつもそうだ…。
小さい頃から夢だった保育士になれたし、新しい友人も沢山できた。
もう少しで恋人同士になるのかもと思える人もいる。
毎日がとても充実している。
それなのにいつも何処かに微かな空虚を感じている自分がいる。
決して楽しくない訳ではないのにいつも心の底が冷めている。
テレビではニュースのスポーツコーナーが始まった所だった。
このままでは鬱々とした気分にどっぷり浸かってしまいそうだ。
こんな日はお風呂に入ってさっさと眠ってしまおう。
先日、奮発して買った大好きな花の入浴剤を入れよう。
そう考えると少し気分が上昇したので このまま行動に移ろうと、テレビを消す為にリモコンを持ちテレビに向けた。
テレビではアナウンサーが速報として日本人初のNFL入りが決まったと興奮しながら伝えている。
短いながらもインタビュー映像が流れた。
「相変わらずあの髪型なんだ…」
大学時代より幾分がっしりした以外、派手な髪型も、人を食ったようなしゃべり方も、いつも何か企んでいるような眼差しも、何も変わっていなかった。
あぁ、彼はまだ夢の中に居るのね?
私はいつの間にか現実に舞い戻ってしまってたんだ。
だから一緒には居られないんだ…。
夢と現実の狭間をギリギリ飛んでいたのに強烈な光りに現実に突き落とされた。
三年間、流れることのなかった涙が席を切った様に溢れて止まらない。
テレビではチームは弱小ながら個性の強い若い選手が揃っていて将来を期待されていると所属チームを紹介している。
またデビルバッツを作るのね。
涙を流しながらまもりは「おめでとう…」と小さく呟いてテレビを消した。
お気に入りの入浴剤を入れたお風呂にゆっくり浸かる。
何時もだったら至福の一時に心から安らぐのに今日はため息ばかり出てしまう。
ため息をつくたび幸せが逃げるのに…そう思いながら また一つため息がこぼれた。
鼻までつかりブクブクとバブリングをしてみる。
そう言えば あの手紙は何が書いてあるんだろう?
自慢気にNFLに入った事が書いてあるのかしら?
それとも?
今まで怖くて開くことのできなかった手紙の内容が気になって仕方ない。
はやる気持ちを抑えてゆっくり入浴しようとするものの気になる気持ちに勝てず、浴室を飛び出した。
手紙を持つ手が少し震える。
大きく深呼吸して気持ちを少し落ち着かせてから封を開いた。
中に入っていたのはホテルの部屋に置かれているメモ帳だったのであろう一枚の紙切れ。
ぞんざいに半分に折られた紙切れを取り出したら、今まであんなに恐れていた自分が急に馬鹿らしくなった。
肩の力が抜ける。
もう何がそんなに怖かったのか不思議な位だ。
ひとまず手紙を置いて、お気に入りの紅茶を入れてミルクティーを作る。
ゆっくりと味わって飲みながら軽い動作で紙切れを開いた。
そこには見馴れた懐かしい筆跡で走り書きされた短い言葉と数字が並んでいた。
“悪魔と契約する気があるなら来い。”
その下には日にちと空港のゲート番号のみ。
文章問題で作者の気持ちを答えるのは得意だ。
だけど、この問題を作ったのはあの悪魔だ。
自分の都合の良い解釈は命とりだとわかっていても期待する気持ちが後から後から湧いてくる。
こんな紙切れ一枚で自分をこれほど翻弄する悪魔に腹が立って来た。
カレンダーを見る。
書かれている日付けは明後日、金曜日の夜。
決戦に向かう決意をまもりはカレンダーに力強く書き込んだ。
Fin
・・・と、言うか 蛭魔サイドに続きます。
ウチのまもりはなんでスグに臨戦態勢突入するんでしょう?
高校、大学とただのマネージャーの関係だったら その後、どうなるか?って考えたお話です。
スタレビの曲 そのまんまなお話ですが ウチの蛭魔さんは素直じゃないので あんな手紙しか書けません。
posted by 春海 さな
at 10:26:39 │
EDIT
「アイシールド21」の蛭魔×姉崎でSS書いてみました。
なんだかな~・・・・
SSって難しいですね。

蒼い弾丸
「俺はアメリカへ行く」
「私は行かない。行けないよ…。就職も決まったし。」
「…」
「サヨナラだね。アメリカでも頑張ってね!」
一年の時こそ惜しくも決勝で破れたライスボールだったが
その後、三年連続優勝へと導いた実績を買われ、NFLのとあるチームと契約した蛭魔は卒業を待たずに渡米した。
姉崎まもりは保育士にも教師にも結局なることなく、英語をいかし外資系の会社へと就職を決めた。
三ヶ月にも及んだ研修を終え配属された部署は外資系だからか、それとも この部署だからなのか、新入のまもりにみな好意的で和やかな雰囲気だった。
そのおかげで最初こそ緊張していたまもりもすぐに職場に馴染むことが出来た。
勤め始めて一ヶ月。
卒業、就職、研修と目まぐるしかった変化もようやく落ち着いた。
昼食の後、午後の就業開始までまもりは窓際に自分の椅子を持って行き外をぼんやり眺めながらコーヒーを飲むのが最近の日課だった。
季節はいつの間にか春から夏になっていた。
太陽が照りつけるグランドを水を持って走り回らなくてもよい。
いつ終わるかわからなような大量の資料と格闘することもない。
1日中涼しい部屋の中で決まった時間の中で適度にこなせば良い仕事に何故か物足りなさを感じる。
何よりもここには…
「銃声が聞こえない…」
「はっ?銃声?!」
いつの間にか昼食から帰って来た同僚がまもりのつぶやきを聞きつけて窓辺にやって来た。
しかし、まもりの見つめる先には彼女の期待するようなものはなかった。
「何なの?銃声なんて言うから事件かドラマの撮影してるのかと思っちゃった」
「ん~ずっと暑かろが寒かろうがお構い無しで怒号と銃声の中駆け回ってたから平和ってこんなモノなのかなって思って…」
「…姉崎さんって日本で育ったんじゃないの?」
「生まれも育ちも日本です」
ニッコリ笑うと同僚は少し怪訝な顔をして自分のデスクへと戻って行った。
まもりは窓の外の空を眺め、誰かがまもりの中に残して行った退屈に小さくあくびをした。
翌週、恒例の業務についての朝礼を兼ねた会議をしていると突然、慌てた様子で女性が部屋に飛び込んで来て上司に一枚の紙を渡した。
突然の出来ごとに最初はわからなかったが、その女性が社長つきの秘書だとわかると全員の視線が上司の持つ紙へと注がれた。
「突然だが本社より辞令がでた。姉崎君。アメリカ本社に出向との事だ」
書かれていた内容にその場にいた全員が驚いた。
「それは断ることは出来ないんですか?」
「出来ない事はないかもしれないが本社社長じきじきの辞令だから難しいかもしれないな…あ、いや、追伸で決定は本人の意志に任せると書いてある」
何故本社社長がじきじきに新入社員を指名したのか?
前代未聞の出来事に騒然となる中、まもりには「ケケケ」と笑う悪魔の声が聞こえた。
蛭魔妖一と言う男は悪魔と呼ばれるに相応しい男だった。
見た目もさることながら傍若無人、唯我独尊、破天荒な立ち振舞いは見る者を地獄の恐怖へと突き落とす。
嘘ではない。
だがそれは真実でもない。彼は強引であったが傲慢ではなかった。
無理やり自分のフィールドに引き摺りこんでも最後の決定は本人に委ねた。
決して強要する事なく、本人の意志を尊重した。それは潔い程。だからあの時、彼はさっさと一人で旅立った。立ち止まる者に用は無いとスッパリ切り捨てて…。
そんな彼からの突然のコンタクト。
後ろを決して振り返らない彼のこれは気紛れ?
それとも後悔?
それともやっぱり彼は悪魔で、私の平和を乱す罠を張った?
わからない。
彼の意図はわからない。
けれど これは私にとってラストチャンスだと言う事はわかる。
じっと電話を待ってる日々にサヨナラできる。
全員の視線を受けながらまもりは決意を口にした。
蛭魔は夢を力で現実にした。
新天地は曲者揃いの山あり谷ありで順風満帆の船出とは行かなかったが持ち前の知略謀略張り巡らして海千山千を黙らせて来た。
今は波に乗れている。
気は抜けないが確実に追い風だ。
津波のように全てを破壊して突き進める気すらする。
毎日が充実している。
今日も試合は快勝だった。
明日は試合が無い事もあり時間も忘れてチームメイトと酒を浴びるように飲みばか騒ぎで盛り上がった。
自室に帰り、冷えたミネラルウォーターをペットボトルのままらっぱ飲みしながらテレビをつける。
チャンネルを次々にかえても蛭魔の興味を欠片も惹くものはなくイラついてリモコンをベッドへ投げつけた。
もうじき朝が来る。
イラつきついでに自身もベッドに投げだして暫し意識を手放した。
まどろみの中で見た夢はシュークリームのようにふわふわとした掴み所の無い糞甘いもので夢だとわかっているのにどうにも出来ない居心地の悪さに舌打ちをする。
しかし、夢は突然現れた女の放った銃弾によって木っ端微塵に撃ち砕かれた。
ショックにやられ目が覚めた。
全身に嫌な汗をかいていて気分が悪い。
自分はアノ女に撃たれた。
それは随分昔の事だった。
それなのにアノ女の放った銃弾は今もなお自分の中にしぶとく居座り、少しずつ、しかし確実に侵食を始めている。
もう抑えきれない。
生殺し状態で甘んじるなんざ俺じゃねぇ。
殺るならさっさと殺りやがれ!
シャワーを浴びた蛭魔は黒い手帳を取り出すと電話に手をのばした。
もうじき蒼い弾丸を装備した女が悪魔と対峙する為に海を越えてやって来る。
この闘いの勝者は果たして…
Fin
B'Zの曲聞いてたら こんな蛭×姉が出てきちゃいました★
勝手に蛭魔が動くので最初考えてたのと違う内容になっちゃいました・・・。
小説って書いたことない上に作文も感想文も論文も超苦手な奴なので・・・
まとまりのないうっとうしい文章でスミマセン。