BE MY BABY 2
練習試合は午後からだが、午前中は練習があるというので娘を車に乗せ、一緒に学校へと向かった。
娘には「試合までは時間があるから後から来たら?」と言われたが、断った。
相手の男の本性をどう暴くか?!
その方法を考えるにはいくら時間があっても良い。
時間があれば有るほど念入りな害虫駆除方法が考えれると言うものだ!
腹の中で高笑いをしながら一路、車を泥門へと走らせる。
ただ、予定外だったのは妻までついてきてしまったこと。
車に乗る瞬間、娘には聞こえないように小声で「人の恋路の邪魔はしちゃ駄目よ」とピシリと釘を刺された。
恋路の邪魔じゃない!
迷える娘を救うだけだ!と反論したかったが、計画そのものがおじゃんになりかねなかったのでぐっとこらえた。
車を降りると、ガシャンガシャンと規則的な金属音の響く音が聞こえてきた。
娘は慣れているのかたいして気にした様子もなく「部室はあっちなの」とさっさと部室へと歩き出したので、私達も娘の後について部室へと向かった。
途中、グランドを通った時、音の出所がわかった。
巨体が何度も何度も機械にぶつかって行く姿が見えたからだ。
一番に来て自主練習してるなんて、まさか…まさかアイツがアメフト部のキャプテンとか言う娘の彼氏なのか?!
あんな巨体が娘の好みだったのか?!
私が固まっているうちに、私達に気づいた巨体がドスンドスンとこちらに走って来た。
「姉崎さん、おはよー!」
屈託ない人懐こい笑顔。
本当にこの男なのか…?
悪い奴ではなさそうだが、娘の彼氏と認めるにはちょっと……。
「おはよう。お父さん、お母さん、こちら栗田君と小結君。泥門の強力なラインマンなのよ!」
「はは…栗田君と小結君か。よろしく」
蛭魔じゃなかったとほっと胸を撫でおろす。
栗田君の巨体に隠れていて気付かなかったが、栗田君同様、小結君も真面目そうじゃないか。
偏差値だけでろくでもない学校だと思っていたのは自分の偏見だったのかもしれないな…。
少々自己反省していた私の思考は甲高い雄叫びに遮られた。
「まっもりさぁ~~~んっ!!」
声の方に振り向くと、締まりのない顔の猿がこちらへと突進してきていた。
いや、猿ではない。
猿に良く似た小柄な少年だ。
まもりの前に立つと、それまで以上にデレデレとみっともなく伸ばした鼻の鼻息も荒く、今日いかに自分がやる気かと得意気にポーズをつけなが話しだした。
その姿はあまりにもみっともなくて絶句してしまいそうだ……はっ!
ま…まさか…このデレデレっぷり。
まさか、まさかこの猿君がまもりの彼氏だとか言う蛭魔なのか!?
いや、まさか~!
いや、しかし…。
自慢の非の打ち所の無い娘だが、実は一つだけ弱点があったりする。
それは個性的と言うか、独創的と言うか……とにかく、人とは違う美術感覚だ。
あんな絵を描くからと言って、男の好みもあんなだとは決まっているわけではない、ない、が、絶対、違うと断言するだけの自信も私は持ち合わせていない。
まさか…。
まじまじと猿男を観察していると、まもりが私の事を父だと猿男に紹介した。
「ま、まもりさんのお、お父様!!?」
そう奇声を発するやガチガチになり自己紹介らしき意味不明な事を高らかに叫びだした。
しかし、ほどなくして苦笑いするセナ君とチアガールの格好をした女の子に引きずられて去って行った。
何を言いたかったのかは分からなかったが、とりあえず、彼の名前は雷門太郎で、蛭魔ではないとわかりほっと胸を撫で下ろした。
その後、少し試合について栗田くんと話し、それから部室へと向かった。
続く
まもりパパ 疑心暗鬼中★
明日はUPできるかな?
なかなか話が進まない・・・・。

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