ONE
「あ!」
「あん?」
黙々と作業していた二人きりの部室にまもりが思わず発した声は大きく響いた。
「あ、ゴメンなさい。たいした事じゃないの。気にしないで」
「大事な書類に記入ミスなんざしてねえだろうなァ?」
そう言うと蛭魔はまもりの手から書類を取り上げた。
ざっと目を通すが不備は無さそうだ。
「間違えたとかじゃなくてね、ほら、みんなの生年月日記入しててね、栗田君の誕生日が7月7日だって気づいたの」
「糞デブに短冊でも吊るそうと思ったか?」
「そんなこと思ってません!そうじゃなくて、ほら、栗田君の背番号って77じゃない?もしかして誕生日から選んだのかなぁって思ったの」
「あ―…かもな」
「…もしかして、蛭魔君も?」
「あん?そんなわけねえだろ。大体、1だけなんて誕生日ねえだろうが」
「1月1日とか?海外の人って誕生日が分からない人がいるじゃない?そう言う人が日本で運転免許取る時、免許証に生年月日記載しないわけには行かないからとりあえず1月1日って書くって聞いたことあるの。だから…」
「テメェ、俺を何人だと思ってやがんだ?誕生日もわからねぇ奴だと思ってやがんのか?」
ジャキッ!
どこから取り出したのか蛭魔は片手でマシンガンを構え、照準をまもりに合わせた。
しかし、今更そんなことにびびるようなまもりではない。
「だってー、大会出場の申し込みの書類にも誕生日記入しなくても良いってどう言う事?どう考えてもおかしいでしょ?何かわけでもあるのかと思うじゃない?」
たいして気にした風もなくうーんと頭をひねる。
「その考えで行くと1月1日生まれになんのは糞ジジイになんだろうが」
「あ、そっか。でも、ムサシ君の誕生日は4月2日だものね…。違うのかぁ…」
残念そうなまもりに興味を無くした蛭魔は再び自分の仕事へと戻る。
「あ、ねえねぇ!ムサシ君の11ってもしかして、蛭魔君の1と、栗田君の同じ数字の2つ並びを取ってるんじゃない?!蛭魔君と栗田君、両方にちなんだ背番号つけるなんてムサシ君らしくない!?」
凄い発見をしたかの様に興奮するまもりに蛭魔は馬鹿にしきった視線を送る。
「ンっなもんグダグダ考えてる暇があったらちゃっちゃと手を動かしヤガレ!」
「だって、なんだか素敵な思い付きだと思って…」
「んっなモン、本人に聞いた方がくだらねえ推理するより確実で早えだろうが」
「本人が教えてくれたらね」
「あん?」
「ムサシ君は教えてくれるだろうけど、蛭魔君は絶対教えてくれそうにないじゃない」
「…さっさと済ませヤガレ。置いて帰るぞ」
この話しは終わったとばかりに蛭魔はパソコン画面へと視線を向けてしまった。
「ほら、やっぱり…」
一つ小さなため息をつくとまもりも仕事を再開した。
「あ!」
暫くは部室の中はまもりのペンの音と蛭魔のキーボードを叩く音しか聞こえなかったが、その静寂は再びまもりによって破られた。
「またか!テメェ、やる気あんのか!?」
「ねぇ!蛭魔君の背番号って妖一の1?」
イラついた蛭魔などお構い無しでまもりは話しかけて来る。
「……。」
「正解かどうかくらい教えてくれたって良いのに…」
無視する蛭魔にまもりは頬を膨らませた。
「…二番なんざ負けと同じなんだよ。やるからにはてっぺんとりに行かなきゃ意味無ぇだろうが」
「その『1』なんだ…」
チッと蛭魔が舌打ちしたがまもりは気にならない。
その舌打ちは苛立ちからではなく、きっと照れかくしだから。
「大会、頑張らなきゃね!」
「そう思うなら無駄口たたかずさっさと仕事しヤガレ!」
「はーい!」
再び部室はペンの音とキーボードを叩く音だけになる。
いつしか、その2つの音が重なりあいメロディーを作り出した――――。
END
単に私が背番号の由来って?って考えたネタでした★
だって~ 3人しかいないのに 1,77,11なんだモン。
何かあるのかな~?とか思って★
栗田は誕生日だろうけど、ムサシはなんでなんだろう?
スカイツリーは634でムサシだけど★
相変わらず、上手にまとめれない~~。
次回こそ~~~!!

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